院長ブログ
エープリルフール?(2)
今朝のある新聞の紙面を見て、これまた驚いた話です。成人になる年齢が変更されて、何と18歳で医師免許が取得できるようになる、というのです。
これもまたエープリルフールのネタでしょう、って思ってしまいましたが、でもあまりふざけることのない新聞の1面記事。どうしてそうなったのか、ちょっと探ってみました。
もちろん医師免許を取得するためには、医師国家試験に合格することが必要です。さらに、受験するためには所定の医学教育を修了(6年間の医学部を卒業)しておく必要があります。
どう逆立ちしても、18歳で医師免許は無理。なのに、どうして?
元は法務省の文書にありました。各種の法律の条文に、もし成人の年齢が書いてあればそれも同時に法改正しなければいけません。「医師法」には「未成年者には、免許を与えない」(第3条)とあるので、法改正の必要はありません。そのことを一覧表に載せていました。
法務省は自分の仕事をしているだけのようです。
政府広報を作ったのは内閣府。そこに今回の「18歳で医師免許が取れる」と例示として書き込んでしまいました。これが間違い。内閣府のミスです。
しかし、医師の資格について管轄している厚生労働省も、医学部教育の所管である文部科学省も、その例示が誤っている、または不適切であると意見すべきなのに、それを怠っているようです(もしかしてそうしたアクションを起こしたけど、内閣府が強引に突っ走ったのかも?)。これを「未必の故意」っていうんじゃないのかな。
お役所の縦割り行政が、こんな恥ずかしい結果になっているということ。いかにも日本らしい!
それとも、国を挙げて、複数の省庁が一致団結して、エープリルフールのネタを作ったのかも。それならそれで面白い話です(笑)。
冗談はさておき、どうしても指摘しておかないといけないのが、この新聞社の報道姿勢です。政府広報のほぼそのまま丸写しで紙面を作っているかのよう。だれが見てもおかしいと思うことを、そのまま載せるって、どうなんでしょう。
あなたたちは政府の広報誌(紙)ではないのですよ。報道機関としての役割をしっかり果たしてほしいものと思います。
もっとも、そんなことを期待してはいけないのかも。新聞を読む人が、特に若い人たちの間で少なくなっています。誰もこれを本気にして、18歳の新成人になったから言って、厚労省に医師国家試験の願書を提出する人もいないでしょうね。
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