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院長ブログ

ヘルパンギーナ流行(2)

ヘルパンギーナは夏場に流行する特徴があります。
例年7−8月頃に患者発生数が多くなり、他の季節は発生がなくなります。
しかし、昨年は年間を通して全く発生がありませんでした。
これはRS感染症などと同じ現象です。
新型コロナ対応として、厳重に手洗い、マスク着用などを行っていたためではないかと言われています。
 
昨年、子どもたちの間に「流行るべき感染症」を全く見かけなくなりました。
それはそれでいいことなのですが、でもその感染症がなくなったわけではありません。
いずれまた流行ることでしょう。
その時に、何年も流行がないと、免疫を持たない子どもたちが多くなり、流行が大規模になる可能性あります。
 
今年、当地で経験したRS感染症がそうでした。
今、ヘルパンギーナが流行し始めていますが、例年を凌駕する規模になる可能性があります。
 
私たち小児科医が次に心配しているのがインフルエンザです。
昨年末から今年冬にかけて、全く見かけませんでした。
これは全国的どころか、世界的傾向です。
インフルエンザの一部のタイプはもう無くなったのではないか、とも言われています。
でも、全てのインフルエンザウイルスが、地球上から消滅したなどということはないでしょう。
現在、冬を迎えている南半球ではB型インフルエンザの発生があるということです(規模は小さいですが)。
 
さて、もし流行が始まれば、大規模な流行になる可能性があります。
昨年流行らなかったということで、ワクチン接種を受けないでおくと、その「悪条件」は倍化してしまうでしょう。
そして、その影響を最も受けるのは、乳幼児です。
流行がなくて、インフルエンザに罹患したことがなく、さらにワクチン接種が行き届いていないからです。
 
新型コロナも次第に子どもたちが感染のターゲット(ウイルスにとって)になりつつあります。
それに加えて、もしインフルエンザ流行が始まれば、どんな事態になってしまうでしょう。
考えたくもないことですが、可能性は否定できません。
いや、十分にあるかもしれません。
 
油断することなく、しっかり見守り、対応していきたいと思っています。