院長ブログ
方針変更
今日は7月1日。今年も後半に入りました。半年がすぎたのだと思うと、色んなことが頭の中をよぎります。
今年も新型コロナにかき回されています。まずは感染への恐れとその対応。日々、こわごわと診療していました。途中からはワクチン対応。小児科医院ではありますが、高齢者への接種も頑張りました。今は成人へ接種し、夏休みは子どもたちへの接種が待っています。
先月から突如RS感染症が現れ、当地でも大流行になりました。例年は夏場に毎年流行し、一定の患者さんがいました(その前は冬の感染症でしたが)。ところが昨年は皆無。全く患者さんを見かけませんでした。今年の流行は、その反動なのでしょうか。例年以上の大きな山になりつつあります。
同じように手足口病やヘルパンギーナといった夏風邪も、冬のインフルエンザも診察していません。胃腸炎もとても少なかったですね。今後はどうなるのかな? 流行り始めた時に(いつかその時はやってきます)、RSと同じような大流行になってしまう恐れもあります。
感染症の流行はあって当たり前です。平均的に、いつもと同じように流行っていれば、さほど問題はありません。小児医療もそれを受け入れることは容易です。でも、通常とは違う大規模な流行とあれば、もう太刀打ちできない状態になってしまうかもしれません。その恐れは十分にあります。
今日、わたぼうし病児保育室は、受け入れを制限する事態になりました。「断らない」を基本方針にしていましたし、実際にお断りすることはなかったのに。とても残念ですし、申し訳ない状況になりました。
その要因は利用者の急増です。先月の前半から利用者が徐々に増え、後半には30人台が普通になりました。時に40人台になることも。そして今日予約が朝の段階で51人に!
当施設の定員は25人。杓子定規には運営したくないので、定員を超えても希望者を受け入れてきました。そのためにも保育士などのスタッフを多めに雇用し、余裕ある体制を作っています。
でも定員超過は臨時的なこと。それ自体もあまり好ましいことではありません。まして定員の2倍以上というのは、異常な事態。やはり問題ですね。
事故の危険もあります。お預かりしているお子さんに不測のことがあれば、何のための病児保育なのかと思います。安全に病児を預かるのは、やはり預かり数にも限りがあるでしょう。
保育士の疲労度が限界を超えている可能性もあります。事業主として、労働者の健康状態を良い状態で維持していく必要があります。ましてここは医療機関。この点をないがしろにするわけにはいきません。
行政の方とも相談しましたが、受け入れる人数には限度があるでしょうと。臨時に定員超過があるのは仕方ないけれど、常時起きているようなら定員の改定が必要。また超過の程度があまりに著しいのであれば、それも是正すべきと。
今日のように定員の2倍以上になる事態は好ましくないどころか、積極的に回避すべきことだということになりました。
昨日の新潟日報で、「断らない病児保育」と報道してもらったばかりなのに、その翌日に方針変更。何だか詐欺のように感じられるかもしれませんね。20年間守り続けてきた旗を、21年目の初めに降ろすことになり、複雑な気持ちでいます。
そもそも「断らない病児保育」というのが、本当に成り立つ方針なのか、という議論も必要です。例えば大きな都市であれば、最初から実行は難しいでしょう。地方の、人口があまり多くなく、周辺からの利用者もそれほど多くないといった条件がもともとあるから、ある程度成り立っていたのだと思います。
この旗を掲げ続けたのは、子育てをしている若い世代を応援していきたいと考えていたからです。子どもが病気になって困っている時に、セーフティネットを張り、支えてあげたいし、それができると思っていたからです。
しかし、そのネットが十分な大きさではない時があることを、今回知りました。無限のものではありません。あふれてしまったり、破れてしまってはいけないので、「受入制限」という対応をさせていただきました。
でも、この制限は臨時的なものです。子どもたちの感染状況が落ち着けば、また十分に機能させることができます。また、たびたびこのような事態になるようであれば、制限せずにすむような対策を次に考えていこうと思います(これ以上どうすればいいのか、まだ良く分かりませんが)。
先日のブログには、まだ伸び代はあるだろうと書きましたが、そうではなかったです。もうこれ以上は伸びません。その現実を目の当たりにして、苦渋の決断をせざるを得なかったのが今日一日の動きです。
利用者に対する申し訳ないという気持ち、精一杯頑張っている保育士などの職員の努力を思うと、まだよく整理できていないのが正直な気持ちです。
もうちょっと何とかならなかったのかなという気持ちもあります。あれほど誇らしげにしていた方針を一時的にせよ撤回することになった残念さ、いや、悔しさ。それがないというとウソになるでしょう。
でも私の気持ちの整理は優先課題ではありません。とりあえずは明日も大変な一日が待っています。皆さん、どうぞ宜しくお願いします。
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