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院長ブログ

訃報

☆訃報

悲しい知らせを、大晦日にいただきました。
高校時代の恩師、村山 陽先生が亡くなられました。

村山先生は美術の先生。
高校1年の時に授業していただきました。
でも、授業のことはほとんど覚えていません。
美的センスはないし、やる気もなかったです(失礼)。
(でも、医学部に進んでから、デッサンができないと分かった時、美術教科をサボっていたことを反省しました)

先生は図書館の担当でした。
本好きの私は良く通いました。
さらに、図書館には『雁木(がんぎ)』という名前の新聞があり、先生はそれを作っておられました。
今の若い方には通じないでしょうが、ガリ版刷り。
蠟原紙をヤスリに乗せ、鉄筆でガリガリと引っ掻いていきます。

中学生の頃から、このガリ版刷りに関心があり、自分で簡単な本を作るのが趣味の私(根暗!)。
いつしか、村山先生の作る新聞に原稿を書くようになりました。

当時、大好きな作家が渡辺淳一。
整形外科医の彼が、医療問題に切り込んだ作品は必ず読んでいました。
透析を受けないと命がつなげない中学生を主人公にした『十五歳の失踪』に、感想文を書き、『雁木』に掲載してもらいました。
原稿用紙50枚。
当時は私には大作です。
それを全文掲載してもらいました。

印刷のために先生が全部ガリ切りしていただいたわけですから、その時間と労力は大変だったことでしょう。
一生徒のために、それだけのことをしていただき、ありがとうございました。
自分勝手なことを書いていただけですが、先生の力を借りて形になり、嬉しかったです。
自分という存在を認めていただいたように思いました。

2年ほど前、村山先生の個展で先生にお会いしました。
50年近く前のことなのですが、先生は覚えていてくれました。
むしろ、あの時、図書館のためにありがとう、とおっしゃっていただきました。
感謝するのは私の方です。

お会いしたのは、それが最後になりました。
先生がおられなくなり、寂しいです。
ご冥福をお祈りしております。
合掌