赤ちゃんの長びく下痢と乳糖不耐症

2ヵ月半前に突発性発疹にかかり、下痢の症状がありました。そのとき抗生物質とビオフェルミンを飲みました。それ以来2ヵ月半下痢が治りません。平日は保育園でミルクを2回(1回につき200cc程度)と家庭で母乳を飲んでいます。初めはかかりつけの小児科でタンナルビンとアドソルビンを処方され飲んでいましたが効かないため、それにロペミンを混ぜたものを処方されましたがやはり効きませんでした。この間は1日8回近く、水便が出ていました。1ヶ月週間経っても改善が見られないため、病院を変えました。そこではラックビーを処方され、1週間飲み続けましたが、効き目がありませんでした。また、便培養検査と採血してアレルギー検査をしましたが、原因は見つかりませんでした。こちらのホームページで乳糖不耐症のことを知り、病院の先生に可能性を聞いてみました。授乳後に排便することは多かったですが、先生のおっしゃるようなすっぱいにおいの便ではなく、うまく説明できませんが鉄っぽいというか血っぽいにおいに近かったです。また、母乳を飲んだ後の方がミルクの後よりより水っぽい便が出ていました。病院の先生は可能性はあるがなんとも言えないので、ミルクを無乳糖のものに変えましょうとおっしゃって、保育園でノンラクトを飲むようにしました。家庭でも粉ミルクを試みたのですが、夜中に2度ほど夜泣きをするので、そのときはおっぱいでないと眠ってくれず、母乳を与えました。その状態で1週間様子を見たところ、水便と軟便の中間くらいの硬さになりましたが回数が5回程度とやはり多く、母乳のあとの便が下痢気味だったので、家庭では母乳を飲ませる前にミルラクトを飲み、保育園ではノンラクトを飲むようにしました。それを3週間つづけたところ、水便は収まり、下痢便に近い軟便になりましたが、やはり1日3-5回の便が出ます。また、1日だけ薬を持たずに外出してしまい、1日4回ミルラクトを飲むところを1度しか飲まずに過ごしたのですが、薬を飲んでいる日と便の様子、回数が同じだったため、薬で改善したと言うよりも本来の体の機能が戻ってきているように思われ、薬を続けるべきか、そもそも乳糖不耐症なのかどうか疑問に思うようになりました。また、ミルラクトを飲み続けていることが原因か分かりませんが、ここ2週間で4度嘔吐しましたので、薬を飲ませることも怖くなっています。ウィルス性の風邪からきているのかもしれないとのことで、現在便培養の検査結果待ちです。ここまで下痢の症状がありながらも体重は順調に増えていたのですが、今回初めて2週間で120gほど減ってしまい、心配です。離乳食は原因が特定できるまで中止していましたが、1週間前からおかゆと野菜のみで再開しています。塚田先生のHPを見ると、下痢用ミルクに切り替えることで数日で効果が出ると書かれていますが、娘のように1ヶ月以上も同じ状態が続くことがあるのでしょうか。乳糖不耐症以外の症状であることは考えられますか。回答いただけると幸いです。(Kさん)

下痢が長く続いているということで、ご心配ですね。

基本的なことをまずお話しします。
下痢をしているということは、消化吸収がうまくできていないということです。
従って下痢止めなどの薬物療法を行うと同時に(ときにはそれ以上に)、食物・ミルクなどの与え方を調整してあげる必要があります。

乳糖不耐症は日本人には避けることのできない問題です。
下痢が続くと必ずといっていいほど二次的乳糖不耐症になります。
その対処は、程度が軽いようであれば、乳糖の摂取量(=哺乳量)を減らせば良いのですが、程度が強かったり長びいているようなら完全に制限する必要があります。
つまり無乳糖の粉ミルクにしてもらいます。
ラクトレスのような乳糖分解酵素製剤は、その効果はないと私は思っています。
牛乳から作られた粉ミルクはより問題になりますが、母乳中の乳糖も問題になることがあり、下痢の程度が強い時には母乳もやめれもらわなければいけない時もあります。

乳汁については乳糖以外にも問題があります。
それは栄養価が高いということです。
たんぱく質や脂肪が豊富に入っていますので、その分、消化吸収に問題が生じます。
下痢をしているわけですので、高たんぱく質、高脂肪のものは消化されず、そのまま便となって排出されるだけではなく、腸管の粘膜にいっそうダメージを与え、下痢をさらに悪化させます。
水分の多い下痢便が続くと、脱水の問題も生じます。
このような理由から、下痢の程度が強い時に、無乳糖の粉ミルクに代えるだけでは不十分で、乳汁の摂取量を減らさなくてはいけない(ときには中止しなければいけない)ことがご理解いただけると思います。

離乳食については、初期の物を、1回を少量にして、その分回数を多く与えることはさほど問題がないと思います。
初期の離乳食は炭水化物が中心であり、消化しやすく良く煮てあるので、水分も多めです。

生後10か月ということですので、思い切って乳汁を中止し、離乳食だけにしてみるのも一つの方法かと思います。

これまでいろいろとお試しになっているわけですが、以上にお話しした点からはやや不十分であったり、正しくない方法もあったように感じられます。

個別のお子さんの治療方針について、診察をしていない私が申し上げられることは一般的なことですので、当てはまらないこともあるかと思います。
今後のことについては、再度主治医の先生とよくご相談になって下さい。

(以上書いたことはすべて、すでにHPに書いてあることです。注意深くお読みなっていただければご理解いただけることだと思うのですが。私は「下痢用のミルクに変えるだけですむ」と単純にお話をしているつもりはありません)

2006.7.3

目次のページへ

ホームページのトップへ

塚田こども医院Q&A2006年