熱性けいれんの対処(ダイアップ坐薬の使い方)

イタリア在住の者です。
昨年11月に子供(1歳)が熱性痙攣を起こしました。
急な発熱(39.2度)のあと20秒程度の痙攣を起こしたので、翌朝救急病院にかかり3日間入院しました。3日後に熱が下がり再度の痙攣もなかったので、「もし次に痙攣が起きた場合に使いなさい」とのことで座薬(Diazepamと書いてあります)を処方されましたが、熱性痙攣の予防には使えないとのことでした。
日本では熱性痙攣の予防薬があると聞いたので、一時帰国した際に「ダイアップ」を処方してもらい、こちらに持ち帰りました。
このたび子供が発熱したので、ダイアップを8時間おきに3回使用しました。ダイアップを処方してくれた小児科では「一回の発熱で3回まで使用」といわれ、薬局で再度確認したところ「8時間の間隔をあけて、一日3本を越えなければ何度使用しても大丈夫」といわれたためです。
が、3度目の使用後に子供のふらつきがひどく、目もトロンとしてあきらかに様子がおかしくなったのでインターネットで調べてみたところ、ダイアップの3度目の使用のタイミングが早すぎたことを知りました。
現在は熱も下がり、ふらつきも徐々に改善されつつありますが、このように明らかに使用方法を誤ってしまった場合はどのように対処したらよろしいでしょうか。医療機関を受診する必要はありますでしょうか。
イタリアでは熱性痙攣に対する予防という方法を取っていないので、病院でも理解してもらえるかが不安です。
言葉の問題や医療制度の違いもあり、なかなか病院にかかれないのも実情です。
何かアドバイスを頂ければと思います。。(Kさん)

日本とは医療事情が違うので、外国での生活や子育ては大変ですね。

熱性けいれんは日本人の子どもたちの8%程度におきるといわれていますが、この率は他の国(民族)より多いようです。
イタリアのことは分かりませんが、もしかしたら熱性けいれんの対処もやはり違っているのかもしれません。

ジアゼパムは抗けいれん薬ですが、もともとはけいれんを止めるためのものです。
けいれんの重積状態(30分以上とまらない)などでは、こういった薬剤でけいれんを止める必要があります。

熱性けいれんの予防のためにこの薬剤を使うのは、日本が最初のようです。
ダイアップ座薬の使用方法は、北里大学小児科教室で開発されました。
「発熱時頓用療法」と言っています。
おそらくそれが世界で初めてだと思います。
使用法の実際はすでにご承知のとおりです(HPにも詳しく書いてあります)。

メールの内容から想像すると、イタリアではこういった使用法は紹介されていないのではないかと思います。
ジアゼパムを熱性けいれんの予防のために使用するとしたら、日本で広く用いられている方法に従って下さい。

ジアゼパムの過量投与によって、中枢神経の機能低下が現れます。
ふらついたり、眠気があったりするくらいでは、翌日くらいには消失するでしょう。
さらに程度が強くなると呼吸抑制がおきることがあり、注意が必要です。
呼吸抑制は投与直後におきるもので、あとでおきるものではありませんので、その場で大丈夫であれば心配される必要はありません。

なお、熱性けいれんの回数が記載されていませんが、1回しかおきていないのであれば、まだ予防をする必要はないかと思います。
(この点もHP内に記載があります)

2006.3.5

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塚田こども医院Q&A2006年