水ぼうそう(水痘)ワクチンと妊娠

予防接種についての質問なのですが、私も予防接種を受けその後に妊娠が発覚いたしました。予防接種は、主人の米国転勤のための移民ビザに伴い接種したもので、接種した場所は、在日米軍の米国の病院です。接種したものは、TD(破傷風)、IPV(ポリオ)、VZV(水疱瘡)を同時にいたしました。予防接種をしたところに問い合わせると、中絶したほうがいいとも、しなくてもいいともなんとも言えないとのことでしたそれは、別の産婦人科に問い合わせても、全て同じ答えです日本のものと、米国のものでは、違うのでしょうか?また、このまま妊娠して、予防接種を受けたことによるリスクは、あるのでしょうか?(千葉・Kさん)

破傷風とポリオは不活化ワクチンですので、全く問題がありません(日本のポリオワクチンは生ですが)。

問題になるのは水ぼうそう(水痘)ワクチンかと思います。

水ぼうそう(水痘)は、罹患すると2週間程度の潜伏期ののちに発疹が出始め、そこから約1週間で治癒し、血液中から水ぼうそうウイルスはなくなります。
妊娠中に水ぼうそう(水痘)にかかると、少数ですが「先天性水痘症候群」の赤ちゃんが生まれる可能性があります。
手元の資料では・・
・0〜12週 0.4%
・13〜20週 2.0%
・21〜36週 0%

水ぼうそうワクチンは生ワクチンですので、一定期間体の中で「生きて」います。
その期間は、もとのウイルスの特性から考え、3週間前後ではないかと思います。
また、もとのウイルスよりも障害を起こす可能性は低くなっていることが十分に考えられます。
以上から考えると、今回の水ぼうそうワクチンが妊娠に対して悪い作用を起こす可能性は、ゼロと断定はできませんが、大変に少ないのではないかと思います。

もちろん「ゼロではない」ということから、妊娠の継続を断念することも選択肢の一つです。
産婦人科の先生と良くご相談のうえ、お決めになって下さい。

一つだけ確認しておいたほうがいいかと思うことがあります。
今回、水ぼうそうワクチンを受けたのは、小児期に水ぼうそうにかかったことがないからだと思うのですが・・
この既往歴はけっこう間違えていて、かかっていても本人・親とも覚えていないことがあります。
もし、本当はかかったことがあるというのでしたら、今回受けた水ぼうそうワクチンは何の作用も副作用も起こしません。
今一度、小児期の既往歴を見直してみることをお勧めします。

2003.9.17

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塚田こども医院Q&A2003年9月