抗生物質の使い方

息子(5歳)のことで、ご相談したいのですが、息子は、風邪を引きやすく、1〜2ヶ月に1回は熱を出し、その度に抗生剤を処方されます。先日は6日間解熱せず、総合病院で診てもらいました。その時の先生が「抗生剤は、菌も殺すが細胞も壊すし、使い過ぎると耐性ができたり、良くないこともでてくる。」と言っていました。息子は今までのことを考えると、かなり色々な抗生剤を飲んできているのですが、今後、何かに影響することがあるのでしょうか?また、風邪を引いて熱を出した時、抗生剤を飲むということは、当たり前のことなのでしょうか?(千葉・Iさん)

抗生物質というのは基本的には細菌感染がある時に治療のために使う物です。
子どもの発熱の全てが細菌感染によるものではありませんので、必ず使う必要はありません。
使いすぎると耐性菌ができてしまうというような問題もありますので、その使用については注意すべきだという指摘もその通りです。

しかし、一方では子どもが発熱した際に、その原因や重症度を毎回検査などで特定するのは、日常診療の中ではなかなか難しいものがあります。
経過を見ていれば次第にはっきりしてくることもあるでしょうが、短期間で病状が重くなることもあり、小児科では「様子を見ましょう」などと言ってはおられないこともままあります。
いきおい、感染症の原因、程度について、検査などで特定せずに先回りして抗生物質などを使った治療を始めることが、他の科よりも多くなってしまいます。
小児科の外来は、そんな制約の中で行われています。

抗生物質をしょっちゅう使うのはいわば普通のことです。
その時々の必要性があって使用しているわけですので、その都度副作用などの問題がなければ、あとで問題になることは、そのお子さんについてはないと思っています。
社会全体として考えると、今まで効いていた抗生物質の効きが悪くなり、新しい抗生物質を必要とするようなことがおきることはあります。
しかし、普通に元気良く暮らしている子どもたちにとって、抗生物質が効かない感染症になるというようなことはありませんので、ご安心下さい。

2002.10.8

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塚田こども医院Q&A2002年10月