はしか(麻疹)予防接種の必要性

私は、昔友人の意見等を聞き自分でも予防接種に関してあまりいい響きがありませんでした。否定的でした。でも、最近各情報を聞くと[麻疹とBCGだけは受けた方がいい]いたるところで言われ、悩んだ末に受けようと思いました。うちは3人いますので、小2・年長・もうじき2才の子どもがいます。(中略)どうして、昔はみんなやった病気なのに今は麻疹をとても大変な病気になったのですか?(ウィルスの変異だったりして?)(新潟県・Tさん)

はしかの予防接種をご希望とのこと。
ぜひ受けていただきたい(というより、受けていただかないといけない)ワクチンです。
どうぞ、早急に受けて下さい。

広域的個別接種の体制ができていますので、県内のお子さんは当院で無料で接種を受けることが出来ます。
問診票は当院にありますし、役所での手続きなどは不要です。
ただし、受けられる年齢が決まっています。
はしかは生後12か月〜90か月(7歳半)未満です。
お子さんの中で小学校2年生は、もしかしたら適応されないかもしれません。
そうでしたら、任意接種になりますが、必ず受けて下さい(当院では5,200円で行っています)。

予防接種の歴史をぜひ振替っていただきたいと思います。
ワクチンが開発され、それを受けることができるようになったために、多くの子どもたちの命が守られるようになりました。

はしかは昔から「子どもの命試し」と呼ばれ、死亡率が高く、とても怖い感染症です。
他の病気や事故などで子どもが死んでしまうのが多かった世の中でも、はしかによる死亡は大きな社会問題でした。
最近になってはしかの問題はまたクローズアップされていますが、病気としての怖さが昔はなかったと思っておられるようでしたら、大きな誤解です。

はしかは予防接種を徹底することで、流行することがなくなります。
アメリカでは学校に入るとき、はしか予防接種を受けてないと入学許可がおりません。
州によっては2回の接種を求める所もあります。
日本からの留学生も、医師による英文でかかれた正式な証明書がなければ、日本に送り返されます。
そんなふうに接種を徹底したおかげで、年間の患者数は100人を下回るまでになりました。
(その内の半数ほどは、日本から持ち込まれたはしかウイルスであり、日本は「はしかの輸出国」として非難されています)

日本でははしか患者の発生は年間数万人以上(あまりに統計がきちんと出てきません)。
はしかよる死亡は年間80人ほどと推測されています(その大半は小さな子どもたちです)。
日本がはしか予防接種をきちんと実施できていないことが、これだけの差を作っています。

はしかにかかると全てが入院というわけではありません。
当院で経験した子どもたちは、みな自宅安静で治癒しています。
しかし、中には重篤な経過をとることもあり、やはり怖いです。
はしかの子は全身状態がとても悪くなり、無力になります。
その様子を見た人は、一生忘れることができないくらいに印象的です。

予防接種一般について一つひとつ議論するつもりはありませんが、はしかワクチンについても、「はしかそのものにかかったほうがしっかりとした免疫がつく」などとして否定している一部の小児科医については、憤りを覚えています。
子どもたちの健康・命に対して責任を持っている臨床医の発言ではありません。
ワクチンを簡単に否定してしまう風潮があるのは、先進国では日本だけでしょう。

はしかそのものや、はしかワクチンについては、HPの中で繰り返し触れています。
ぜひお読み下さるようお願いします。
(「サイト内検索」も使ってみて下さい)

2002.7.9

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塚田こども医院Q&A2002年 7月