妊娠と風疹予防接種

妊婦と風疹について質問があります。中学生の頃、風疹ワクチンを接種したのですがアメリカではそれを証明出来ず、3月中旬に再度風疹ワクチンを打ちました。現在自分は28歳です。その後3ヶ月は妊娠しないように言われ気をつけてたのですが生理が遅れています。(明日、検査薬を試します)もし、妊娠していた場合、赤ちゃんへの影響は大きいものになるのでしょうか。(海外・Eさん)

風疹ワクチンを接種したあと妊娠したようだということですね。
結論から言いますと、全くご心配いりません。

風疹ウイルスには胎児の奇形を起こす可能性があるため、ウイルスの毒性を弱くして作られているワクチンにも「理論上」その性質を否定できません。
ですが、実際の妊娠事例の中でワクチンが原因での奇形児が生まれたという報告はなく、「実際上」はその性質はゼロに等しいと考えられています。

それでも一応妊娠についてはご注意をしていただいています。
その内容は「接種前1か月+接種後2か月=合計接種前後3か月」の避妊をお願いしています。
ワクチン・ウイスルは生きたまま接種され、体内で数週間生きているだろうと考えられています。
この間に胎児がお腹にいると、胎児中にワクチン・ウイルスが入り込み、奇形を生じる可能性が「理論上」あるということです。
接種前1か月の避妊は接種時に妊娠していないことの間接的な証拠です。
接種後約1か月以内にはワクチン・ウイルスが体内から消滅しているはずなのですが、安全を見越して「接種後2か月間」の避妊をお願いしています。

しかし、もしもその間に妊娠がはっきりしても、とくに処置はせず、そのまま妊娠を継続していただいているのは、先にあげた理由からです。

また、以前に予防接種を受けておられるとのことですね。
中学2〜3年(14〜15歳ころ)に接種を受けますので、今から13〜14年前になります。
風疹ワクチンの効果は95%以上と言われていますので、高率に免疫ができている可能性が大きいです。
その時に作られた免疫が現在も残っていれば、今回の接種によって体内に入ったワクチン・ウイルスは「たちどころに」中和され、消滅します。
つまり、仮に妊娠していても何ら問題を来しません。
(あるいは、以前に自然の風疹感染を受けたことがあれば、それによって作られた免疫は大変に強く、一生涯続きます。)
そんな可能性もあります。

ということで、何の心配もいりません。
あす妊娠についての検査を受けられるとのこと。
望んでおられたようですので、良い結果の出ることを心待ちにしていて下さい。

2002.5.8

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塚田こども医院Q&A2002年 5月