大人の予防接種

予防接種の事でお伺いしたいのですが、最近、自分の母子手帳の、予防接種の記録を見たら、はしかや、BcGの接種記録がない事が分かりました。 ポリオは、2回投与のところが、1回しか、されてません。 この場合、大人になってからの接種は、必要なのでしょうか?受けたか、受けてないか、はっきりしない場合は、どうすればいいでしょうか?(沖縄県・Oさん)

一般的には、大人の方でも感染症に対する免疫がなく(または不十分で)、その病気に対するワクチンが用意されているときには、予防接種を受けていただくことが望ましいです。
ただし、個々のワクチンによって事情が異なりますので、あとはケース・バイ・ケースです。

BCGについては、乳幼児で行うだけではなく、小学校1年、中学校1年でもツベルクリン反応陰性者に対しては行っています。
ですので、母子手帳の記録がなくても、学校で行っている可能性は高いと言えます。
さらに、日本ではこのように行っていますが、諸外国では乳児期のみ接種し、学童以上では効果がないとして実施していません(いずれ日本の制度も見直されることになるはずです)。
その意味でも、今からBCG接種を受けることは意味がありません。

ポリオ予防接種は日本では「生ワクチン・2回法」で行われています。
しかし、外国では事情が変わってきています。
「生ワクチン」による接種は2回では不十分で、3回すべきとされています(アメリカに留学するときには、州によって違いますが、3回接種を義務としています)。
またアメリカでは、生ワクチンでは副作用の問題があるので、注射による「不活化ワクチン」を使用しています(日本もいずれはそうなるでしょうが、まだ見通しはたっていません)。

ところで現在日本で問題になっているのは、「ポリオワクチンの野生化」です。
これは弱毒化した「ワクチン・ウイルス」が、人の腸管内で増殖している間に再び毒性を獲得し、接種を受けた周囲の人にこの「野生化したワクチン・ウイルス」を感染させることがあります。
ポリオ予防接種を受けるのは主に乳児ですので、親御さんが問題になります。
労働厚生省の調査で、昭和51年〜54年に生まれた方たちのポリオに対する抗体保有率がとても低く、現に子育ての世代でもあることから、ポリオ・ワクチンの接種を呼びかけています(任意接種になります)。
質問された方がおいくつの方か分かりませんが、もしこの間の生まれの方でしたら、ぜひ予防接種を受けられるようお願いします。

日本国内や多くの国では自然のポリオはもうないと断言してもいいとでしょう。
確か昨年、西太平洋地域での「ポリオ撲滅宣言」がWHOから出されています。
そんなことですので、ポリオに対する免疫を十分に持っていないで問題になるのは、お子さんがポリオ接種を受けた時だけだと言っていいと思います。

今回の質問にありませんが、今日本で大人にとっても大切な感染症で、かつワクチンで予防可能なものは・・はしか(麻疹)、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、水ぼうそう(水痘)、破傷風・ジフテリア(二種混合)、インフルエンザといったところでしょう。
それらは、すでに病気にかかっているかワクチン接種を受けてあれば問題ありませんが、そうでなかったら、ぜひ早めにワクチンを受けてください。

2002.2.24

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塚田こども医院Q&A2002年 2月