妊娠中に水ぼうそう(水痘)予防接種を受けたが・・

水疱瘡と妊娠について、ご相談させて下さい。実は、水疱瘡の予防接種を受けたその月に妊娠してしまいました。妻は大丈夫だからと言っていますが、本当に胎児に影響がないのでしょうか。いろいろサイトで調べておりますが、不安でしょうがありません。(埼玉県・Mさん)

胎児にたいする影響というのは、そのウイルス(生ワクチンもウイルスです)が胎盤を通して母胎から胎児にいったときに、何か悪さをするかどうか、という問題です。
もし悪さをするとなると・・
・妊娠のごく初期:妊娠の不成立(受精卵が育たない)
・妊娠の前半(だいたい5か月くらいまで):胎児の奇形(胎児の形が少しずつできる時期だから)
・妊娠の後半:発育不全、流産、早産
こんなふうにおおざっぱに考えて下さい。

ウイルスで一番問題になるのは、風疹ウイルスですね。
妊娠初期の女性がかかると、高率に胎児に奇形をおこします。
(先天性風疹症候群:心臓、目、耳の問題が代表的な症状)
風疹ワクチンは、風疹ウイルスの毒性を少なくしたウイルスですが、このワクチン・ウイルスは、理論的には胎児の奇形を起こす可能性があります。
(そのため、予防接種の前1か月とあと2か月は避妊をお願いしています)
ですが、実際にはワクチンに起因する奇形は生じたことは報告されておらず、そのため、先の期間に妊娠してしまっても、あえて中絶をすることはしていません。

その他のウイルスでは、風疹と同じ様な明らかな催奇形性はありません。
したがって、ウイルスを弱毒化した生ワクチンには、催奇形性はないと考えていただいてかまいません。
これには、水ぼうそう(水痘)のほかに、はしか(麻疹)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)なども含まれます。

ただし、妊娠が成立し、胎児が順調にそだつためには多くのファクターが正しく働くことが必要ですし、一方で、「阻害因子」が働かないこともまた必要です。
今回の件ではご心配いりませんが、これからもいろんなことが関係していくことをご承知おき下さい。

2001.12.9

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塚田こども医院Q&A2001年12月