インフルエンザ予防接種の副反応

インフルエンザの時期がやってきたので予防接種を今検討しているところです。子供には毎年受けさせているのですが、いつも迷うのが親の私たちが受けるかどうかです。大人では病気にかかるリスクより副反応のリスクの方が大きいのではないかと恐れるからです。副反応で、急性散在性脳脊髄炎やアナフィラキシーショックという重篤なものもあると聞いています。これは後遺症が残るようなものですか。子供の場合は病気にかかったときの方が恐いと思っているので、受けさせるつもりなのですが、大人ではインフルエンザにかかっても命にかかわる事はほとんどないのではないかと思うと、副反応の方が恐くなってしまうのです。でも、自分がかかったらそれが子供にうつる可能性もあるので、やはり受けた方がいいのかとも思います。また同じ理由で、子供もある程度大きくなったら予防接種をやめてもいいのかということも迷います。何歳くらいになれば、インフルエンザはかかっても命取りにならない病気になるのでしょうか。重篤な副反応というものをそれほど恐れる必要はないのでしょうか。(大分県・Yさん)

インフルエンザ予防接種についてのご質問にお答えします。

ワクチン接種にともなう副反応のリスクをご心配ですね。
一番大きなものは「アナフィラキシー・ショック」でしょう。
これは、急激におきる全身性のアレルギー反応で、血圧が下がり、ときには生命の問題をおこすこともあります。
おきるのは接種直後で、15〜30分以内です。
このときは、急いで救命処置が必要ですが、きちんとすることで、元に回復するはずです。
(そのため、接種から15〜30分程度は院内にいて休んでいてもらっています。)
アナフィラキシー・ショックをおこす可能性は、全てのワクチンと全ての人にありますので、予防接種を丁寧に行うという意味合いで医療機関での「個別接種」が推奨されています。

急性散在性脳脊髄炎をはじめとして中枢神経系の副反応も報告されています。
私は専門ではないので、その頻度や経過については存じませんが、それほど多いものとは思っていません。
これもインフルエンザに限ったことではありません。

そこで大人へのインフルエンザ予防接種をどうするか、ですが、お話のように、インフルエンザそのものが重篤になることは通常考えにくいので、ワクチン接種をそれほど積極的にはお薦めしていません。
やはり、高齢者、肺や心臓の持病をもっている方、妊婦、乳幼児などが医学的に接種を推奨されている方々です。
社会的な必要性の強い方たちもいます。
政府高官、警察などの治安に携わる人、医療従事者などです(私を含めて医院のスタッフは「危機管理対策」として接種しています)。
普通の大人でもインフルエンザにかかると数日間は仕事につくことができません。
そういったお休みをとることが出来ない方、自宅に高齢者や乳幼児がいて、家庭内でも二次感染が心配される方はぜひ接種を受けていただきたいと思っています。

副作用については、どんな方がどのようなものをおこすか、予見が不可能です。
ワクチン自体は大変良く改良されていますので、その頻度や程度も軽減しています。
ことさらに心配される必要はないと思います。

子どもがいつまですべきか・・ですが、やはり毎年受けておいていただいたほうがいいですね。
13歳以上になれば1回でもいいです。
年齢が多くなれば、学校、受験など、予期せぬお休みをとりづらくなりますので、そういった意味での予防接種の必要性もまた増してくるように思います。

どうぞ、いろんな条件を考えて、お決めになって下さい。

2001.11.7

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塚田こども医院Q&A2001年11月