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       娘は、私立の保育園に今現在通っているのですが、そこは、一切薬が禁止で、病院で処方された薬も飲ませてくれません。「朝、夕とかにしてもらって下さい。」と園の先生は、いうのです。以前は、市の保育園だったのですが、そんな事ありませんでした。なんだか園が責任とりたくないからかなぁと思ってしまいます。まだ2ヶ月たらずなので、園には、言えない自分がいます。先生の所の患者で、園の都合でそのように処方した事ありますか? 昼に薬飲めば、昼寝もよく出来る事ありますよね!どう思いますか?(上越市・Kさん) 
      保育園でも与薬については、今いろいろと「もめて」いるところです。 
      基本的には、保育園は「家庭保育に欠ける子どもの保育」をするところですので、お子さんにお薬が必要なときには、家庭で親御さんが与えるように、園では保育士さんが与えることになります。 
      単純にはこれだけです。 
      しかし、現実には難しいですよね。 
      なぜなんでしょうか? 
      まずは、「お薬が必要な子が保育園に来ている」ことの問題です。 
      お熱やひどい咳など、明らかにお休みが必要な「不健康な状態」であったり、他の子への感染が問題になるようでしたら、普通の保育園ではなかなか受け入れられないでしょうね。 
      これは常識的な考えですね。 
      では、どこで線を引くか・・ですが、一律に「お薬が必要な子は登園不可」とすると、ちょっとやりすぎでしょう。 
      障害をもっていたり、慢性の病気を持っている子をすべて「排除」することにもなりかねません。 
      といって、無制限に受け入れられる訳でもありません。 
      その地域や園ごとに違うと思いますので、よく話し合ってほしいと思います。 
      「保育園は家庭の代わりに保育する」とは書きましたが、簡単に「親代わり」をするわけにはいきません。 
      親は、医師から必要な説明を受けていますが、保育士は説明を受けていません。 
      親が受けた説明を保育士にきちんと伝え、保育士がよく納得できている必要があります。 
      つまり、「これを飲ませておいてね」だけではすまないことになります。 
      その子がどうしてその薬が必要か(病名が分かればそれも)、お薬の名前や効果・効能、ときには知っておくべき副作用はなにか、いつ、どれをどの程度使えばいいか・・そんなことを正確に伝えておく必要があります。 
      それがきちんとできれば、保育士も安心して与薬することができるはずです。 
      一方で、「お薬を与えるのは医療行為だから園では一切できない」というのも、また困りものだと思っています。 
      もしそうだとすれば、親がしていることもまた問題になるわけです。 
      お薬の使い方を「決める」のは医師しかできません。 
      これは「投薬」であり、医療行為そのものです。 
      お薬を、自分では使えないお子さんに、本人に代わって親が与えるのは「与薬」であり、医療行為ではありません。 
      そして、「保育園は家庭保育の代わり」であるわけで、保育士による与薬の一切を禁じているなどということはありません。 
      先に上越市立保育園での「与薬」のあり方について、医師会の見解を示しました。 
      そこには、「文書で親から保育園に必要な情報を伝え、お薬を間違えなく与えられるように準備する」ことを前提に、園での与薬をしていただくということになっています。 
      近日中に市から園や保護者宛に、同様の趣旨の案内や、そのための文書が伝えられると思います。 
      私立保育園は市の方針に従う必要はないのですが、おそらくその方針に準じた扱いになっていくものと思います。 
      ところで、確かに園で与薬をしていただくことは、 いろいろな意味で煩わしく、間違えなどもおこしかねません。 
      「1日2回」のお薬を使うことも、確かに増えてきました。 
      また、私は「1日3回」の薬も、「朝、夕、夜」で使用してもらって、園でのお昼には薬がなくてもいいよとお話ししています。 
      (この方が、8時間毎に近いことも理由です。) 
      ということで、園での与薬については、実際にはなかなか難しい面をもっていることもまた理解していますので、お薬の使い方を適宜変更することもあります。 
      一方で、必ず必要なお薬は、きちんとお願いし、与薬していただこうとも思っています。 
      キーワード:園での与薬 
      2001.6.6
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