嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)の対処

息子(1歳3ヶ月)が3日前の夕方、突然熱が38・5度でました。その直後から嘔吐・下痢を繰り返しました。翌日、かかりつけのお医者様の所で見ていただいた結果、ロタウイルスとの事でした。それから今日まで熱こそ下がったものの、一日何回もの下痢、薬を飲んでも後から吐いてしまいます。今まで薬は水に溶かしてスポイトで飲んでくれてたのですが、今回の薬から飲んでくれなくなり調剤薬局の方に勧められた(株)龍角散からでてる「おくすりのもうね」というゼリー状の物に薬を包み込むようにして飲ませています。が、今日になったら薬を飲んで5分位で吐くようになってしまいました。これでは、せっかく飲んだ薬が効かないような気がして心配です。やはりゼリー状の物と一緒に飲ますのはよくないのでしょうか? それから、ロタウイルスという病気は、個人差はあるでしょうが長引く病気なんでしょうか? 息子の下痢や嘔吐が一向に減らないのも気になりますし、主人も息子のロタウイルスがうつってしまって現在寝ています。正直、今回初めてロタウイルスと言う名前を聞いたので、この病気がどんなものなのかもわかりません。かかりつけの先生に乳製品は取らないように言われたのですが息子は、今現在も母乳を飲んでいます。母乳も乳製品?になるんでしょうか?さっき母乳を飲んでる時、吐いてしまったのが気がかりで・・・。 (三条市・Mさん)

お子さんとご主人のお具合はいかがですか? 少し良くなってきましたか?

ロタ・ウイルスは感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)をおこす代表的なウイルスです。胃炎症状(嘔吐、吐き気、上腹部痛)と腸炎症状(下痢、下腹部痛)をおこしますし、熱、頭痛、倦怠感などの感染症としての症状もあります。冬場の乳幼児におこすことが多いので「冬季下痢症」「流行性下痢症」ともよばれ、特に乳幼児では便が真っ白になるために「白色便下痢症」などともよばれていました。伝染力は強く、吐物や下利便の中に大量のウイルスがいて、それのを経口感染します。

一番心配なのは脱水をおこしてくることです。吐き気が強くて水分などがとれず、そこに大量の下利が加わるため、とくに乳幼児ではおこしやすいです。脱水気味になってくると、元気がなくなり、顔色が青白く、脱力感や倦怠感が強くなります。起きる元気、会話をする元気、遊ぶ元気がなくなり、一言でいうと「ぐったり」状態になってきます。そんなときは少しずつでも水分をとらせる必要がありますが、コップ1杯の薄い飲み物を1時間かかって飲むぐらいのゆっくりペースから始めて下さい。胃の中が荒れているために吐くわけですが、多めに飲み物や食べ物をとると、また吐いてしまいます。「吐かない程度にゆっくり、少しずつ・・」とお話ししています(「言うは易く、行
うは難し」ですね)。少しの水分も受け付けず、脱水など、全身状態が悪いときは、早めに受診し、点滴治療などを受けて下さい。

お薬は何を飲んでいるのですか? 吐き気の強いときは、お腹を休ませたほうがいいので、むしろお薬を飲むのをやめた方がいいこともあります。吐き気止めは、吐き気の強いときには坐薬を使うといいでしょう。下痢止めの飲み薬は、やはり吐き気の強いときには無理に飲ませなくてもいいと思い
ます。まずは、吐き気を止めるのが先決。

飲むのものは最初は薄いものから。お白湯が一番薄いですね。つぎは薄目の麦茶や番茶、2倍程度に薄めたイオン飲料、薄目の野菜スープなど。冷たいもの、熱いものは刺激になりますので、やめてください。(「人肌」のぬる澗がいいですね。イオン飲料のお湯割りをおすすめしています。)ミルク、牛乳のたぐいは栄養がたっぷり入っていますから、消化や吸収といった胃腸の負担がとても大きいので、吐き気がとれてからはじめて下さい。母乳も同じですが、こちらは「精神的な栄養」の意味合いもありますから、少ししゃぶらせるぐらいは大目に見ましょう(もう「枯れてきたおっぱい」のほうがいいですね)。

乳製品をおすすめできないのはもう一つ理由があります。日本人は乳糖を分解するのが上手ではないため(腸の中の乳糖分解酵素が極端に少ない民族)、とくに下痢をしているときは、ますます下痢を悪くしてしまいます。乳製品は、下痢がとまってから少しずつ与えて下さい。(この点では、母乳はそれほどではないので、吐き気がとれていれば一回の量を少な目に飲ませてもいいでしょう。)

ロタ・ウイルス恐るべし! ですね。以上の事は、私のHPの「ヘルス・レター」の中にも書いてあるので、そちらも参考にして下さい。では、みなさん、お大事に。

キーワード:嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)

2001.4.22

目次のページへ

ホームページのトップへ

塚田こども医院Q&A2001年4月