ゼロ歳児へのはしか(麻疹)予防接種

母親からの抗体があるため確実に抗体ができるとは限らず、一歳前の麻疹の予防接種は意味がないと言われました。理由を教えて下さい。 (Yさん)

母親からもらってくる「移行免疫」は、残念ながら1歳までは持ちません。以前は生後8か月ぐらいまでもっている赤ちゃんがおおいと言っていましたが、最近は生後6か月ぐらいまでかな、と思っています。というのは、今のお母さん方が免疫を持っているとしても、それほど強い免疫ではないからです。

自然の麻疹罹患によって得られる免疫は大変に強いですが、ワクチンで作られる免疫は、それほど強いものではありません。また、最近は麻疹の流行があまりないため、ワクチン接種を受けた方の免疫が増強されるチャンスが少ないです。(ワクチンで弱い免疫ができていても、そこに自然の麻疹ウイルスにであうと、それを殺すことによって免疫は大変に強くなります。これを「ブースター効果」と呼んでいます。)ということで、生後6か月ぐらいの赤ちゃんから、麻疹にかかる子が出てきているのが現状です。

ゼロ歳で麻疹の予防接種を使用という場合、もし仮に「移行免疫」が残っているとすると、麻疹ワクチン・ウイルスをすぐに中和してしまうため、体には新たな免疫はできません。その意味では「効果がない」ということになります。逆に、移行抗体が残っていなければ、自分自身で免疫を作りだすわけで、「効果がある」ことになります。

しかし、一人ひとりの赤ちゃんにその移行抗体が残っているかは分かりません。もしかしたら効果がないかもしれないが、害になる(副作用がおきやすい)ということはありません。そういった意味合いで、ゼロ歳の赤ちゃんでも、集団生活をおくる子については、もしものことを考えて、予防接種を受けておくことをお勧めしています。

この場合は、法律(予防接種法)に定める年齢(1歳以上)に達していませんので、任意接種となります。この1回でも十分な免疫の得られる赤ちゃんはいるはずですが、そうではないケースも考えられるので、1歳以降にもう一度接種を受けておくことをお勧めしています。こちらは、市町村の行う定期接種で、無料で受けることができます。その間隔は、接近していても問題はありませんが、効果を考えると、半年から1年程度おいた方がいいと言われています。(1回目の接種で免疫ができていても、もう一度接種すると「ブースター効果」で免疫の程度が強くなります。それを期待すると、数か月以上はあけたほうがいいようです。)

キーワード:ゼロ歳児への麻疹予防接種

2001.4.4

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塚田こども医院Q&A2001年4月