ポリオの予防接種

ポリオは周りがみんな受けているときに受けないと、受けている子の便から感染する可能性があると言われました。理由を教えて下さい。 (Yさん)

お話のあった件は、確かにその通りです。

「生ワクチン」と言うとおり、生きたワクチン・ウイルス(元のウイルスの毒性を少なくしてある)を飲みます。腸管内で増殖し、そのワクチン・ウイルスを殺すことで、体に免疫ができてきます。
この時、ゼロに近い状態まで少なくした毒性が、また復活してしまうことがあります(野生化と言っています)。また、腸管内で増殖したワクチン・ウイルスはお尻から出てきてしまうため、周りに「感染」させることがあります。そのワクチン・ウイルスが、もし野生化し、毒性を持っていれば、感染を受けた人にポリを発症させることがおこりうる、というわけです。

そのため、以前は集団接種に限って行われていましたし、地域の中で、できるだけ一斉に行った方がいいということになっていました。

しかし、現在は必ずしもこれにこだわっていません。というのは、現在の予防接種法の考え方が、できるだけ個別接種で行うようにしようという考えに基づいているからです。ポリオも、集団でなければいけないという法律上の縛りは、現在はありません。

また、野生化したポリオ・ワクチンによる発症例は、ゼロではありませんが、それほど数が多いものではないからでもあります(昨年、確か福岡でパパが感染し、問題になりましたが)。日本ではポリオの発症はほぼゼロですし、世界的にも、ポリオが今なお流行している地域や国は限定されています。

そんな意味合いで、急いで受けなくてはいけないものではないと考えています。(といっても、早く受けても構わないし、逆にいつまでも受けに出いるのは困りものです。)

キーワード:ポリオ予防接種

2001.4.4

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塚田こども医院Q&A2001年4月