一度インフルエンザにかかると免疫は?

インフルエンザにはA香港型、Aソ連型、B型などの種類がありますが、それぞれに免疫はありますか? つまり、一度かかれば何年間かは大丈夫だとか、罹りにくいとか。といいますのも何かの記事で今年のインフルエンザは10代の人たちは罹りにくいように書いてありましたので、これは予防接種によるものかもしくは実際罹って免疫ができているためなのかと疑問に思ったからなのです。(上越市・Kさん)

インフルエンザを初めとして、感染症はかかったあと免疫はできますが、その程度は病気によってまちまちです。例えば、はしか(麻疹)は大変に強い免疫ができ、一生続きます。また、はしかをおこすウイルスは一つしかないため、もう二度とかかることはありません(「二度なし現象」などと昔から呼ばれています。この原理を利用してワクチンによる予防接種を行っています)。しかし、手足口病は何度でもかかりますが、これは手足口病をおこすウイルスが何種類もあるからです。あるいは、十分な免疫のできない病気もあります。

インフルエンザの場合は、やや複雑です。まず大きな型がいくつかあります(主にA香港型、Aソ連型、B型)が、これらは別個なウイルスと考えた方がいいでしょう。(例えば、1シーズンに3回インフルエンザにかかることもあるということです。)さらに、A型ウイルスは、毎年、少しずつ形を変えていきます。同じA香港型でも、昨シーズンに流行ったものと今シーズンのものが違っていることが普通です。このため、毎年のようにA香港型インフルエンザにかかるということもあります。
ただし、それでも「親戚」のウイルスなので、ある程度は病気を軽くするぐらいの免疫があるとも考えられます。ウイルスの変わり方が小さいときには、以前にかかったことがあれば、かからないか、かかっても軽くすむわけです。

3年ほど前に子どもたちの間でA香港型インフルエンザの大流行がありました。その後は中規模な流行を繰り返していますが、今シーズンに流行しそうなウイルスは、これまでものものにわりと似た形のA香港型ウイルスなので、ある程度の免疫をもっている子どもたちが多いのではないかと推測されます。一定の集団の中で7割ほどの方が免疫をもっていれば、大きな流行はおこらないだろうといわれているため、今シーズンは、少なくとも子どもたちの間では、さほど流行らないだろうということが言われているわけです。

しかし、もし同じ型のウイルスでも形が大幅に変われば、全く免疫を持っていないことになります。また、B型については、昨シーズンに全く流行しなかったため、今シーズンどうなるか、心配されています。

予防接種についても同じような事情があります。多くの方が受けていただくことで、その人がかかりにくくなると同時に、集団の中で流行しにくくなってきます。しかし、それとて完璧ではないので、やはりかかってしまう、流行してしまうことがおこりえます。(ワクチンは、次のシーズンに流行しそうなウイルスを探しだし、毎年見直しをしながら作られています。)

ということで、以前かかったことのある方や、ワクチン接種を受けた方が多くなれば、「流行しにくい」とは言えますが、「絶対に流行しない」ということはありません。

キーワード:インフルエンザの免疫

2001.1.30

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塚田こども医院Q&A2001年1月