保育園児の予防接種スケジュール

子供(1歳)は現在保育園に通っています。(中略)保育園では、少しではありますが水ぼうそうが流行しているとのことです。両親とも働いているので、できるのであれば伝染病は予防接種で済ませたいと思っています。それで、子供にも順次予防接種を受けさせようと考えているのですが、どの順序で受けさせていけばいいでしょうか。市役所に聞いたところ、ポリオ→麻疹→風疹の順でとのこでしたが、私としては今水ぼうそうが流行しつつあるようなので、水ぼうそうを先にしたいと思うのですが。もし、ポリオを先にしなければならないのであれば明日4日が集団接種の日となっているので受けさせようと思いますが・・・。先生のところで水ぼうそうの予防接種をするとしたらいつがよろしいのでしょうか。(上越市・Iさん)

お子さんがさっそくいろいろな感染症の「洗礼」を受けているとのことで、大変ですね。保育園に入ると、最初の半年間ぐらいはいろいろなものをもらってきますね。

お話にあるように、予防接種をきちんと受けておくことで、園での感染を防げたり、重くなるのを防げるものがいくつかあります。今、園で水ぼうそう(水痘)がはやっているとのことですし、私の医院にこられる患者さんでも先週はずいぶん増えたなと感じています(詳しくは、HPの感染症情報の中に書いてありますので、参考にされて下さい)。集団生活を始めるにあたって、ぜひ受けておいた方がいいものは次のものです。
・はしか(麻疹)
・水ぼうそう(水痘)
・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

(なお、市町村の予防接種で0歳時にすでにBCG、三種混合がすんでいるものとしての話です。もしまだでしたら、これらを先に済ませて下さい。)

はしかは大変重症度が強く、ひとたび流行りだすと、予防接種を受けていない1歳前後の子に次々と伝染していきます。ですので、予防接種の必要度は大変に高いです。(1回の接種で、ほぼ感染しない程度に免疫ができます。)これは、市町村で行う予防接種に含まれています。(上越市も含めて、多くの市町村では「個別接種」で、無料で受けられるます。)

水ぼうそうは、やはり伝染力が大変に強い病気です。しかし、重症度はそれほど高くありません。ブツブツがでてから約1週間でなおりますし、最近は「特効薬」ともいえる内服薬があり、それを使えば数日で、軽くすませることができます。といってもやはり数日は休まなくてはいけないわけで、やはり予防接種を受けておくこともいいことですね。

このワクチンは、副作用がほとんどないかわりに、効果の点ではほかのものより劣ります。約7割の方には十分な効果があり、もう水ぼうそうにかかることはありません。しかし、残りの3割には効果が不十分で、あとで水ぼうそうにかかることがありますが、免疫が少しはできているために、症状や経過は軽くすませてくれます。そういった意味では、やはり受けておく価値はありますし、小児科医としてはお勧めしているワクチンです。

こちらのほうは市町村で行うものではなく、任意接種になります。(医療機関との任意の契約に基づいて行い、費用も全額自費になります。また料金も医療機関によってまちまちです。)

おたふくかぜは、やはり1週間程度のお休みになる病気です。これも今、少しずつ流行ってきています。伝染力は先の2つほどではありません。おたふくかぜで問題になるのは、合併症としての髄膜炎(ずいまくえん)の発生です。とても頻度が高く、100人中数人がなると言われています。そういった意味では、髄膜炎を予防するワクチンとして位置づけています。これも任意接種で行っていますし、やはり受けていただいた方がいいと思っています。

市町村で行うワクチンのうち、ポリオと風疹は、さほど急ぐものではありません。ポリオは、日本を初めとして、多くの国では発生しません(ワクチンは受けておいた方がいいですが)。また、風疹も、私は平成7年に最後の流行を経験してからは患者さんを診ていません。これは妊婦さんがかかると「先天性風疹症候群」という、胎児の奇形をおこすことがあるので、流行しないように幼児期に男女とも行っている予防接種です。一人一人のお子さんが風疹にかかっては困るという意味合いは薄いですので、やはり後回しにして構いません。

市の回答というのは、「市ではそういうふうにスケジュールを組んでいる」という話であり、予防接種の重要性などとはあまり関係がありません。市の予防接種もうまく利用しながら、個人の接種スケジュールを組み立てていけばいいわけです。

それでやっとお尋ねの件にうつりますが、私としては「水ぼうそう→はしか→おたふくかぜ」の順に受けていただき、ポリオ、風疹はあとで受けたらいいと思います。ここで出ている5つのワクチンは、いずれも「生ワクチン」に属しますので、次の接種までは通常は4週間あけます。(三種混合、インフルエンザなどの不活化ワクチンは、そのあと1週間でつぎのものを接種できます。)

任意接種のものは医療機関での予約が必要ですので、早めにお問い合わせ下さい。(当院では当日でも対応できるよう、常時在庫をおいていますが、やはり確実に受けられるように、早めにご予約ください。また、任意接種は毎週木曜日の1:30〜2:30の時間帯で行っていますが、いそぐ事情のある方はいつでも行いますので、予約の時にお話下さい。)

ところで、インフルエンザの予防接種はお済みですか?1月からは流行期に入りますので、できれば年内に受けておかれると良いです。もしまだでしたら、先にインフルエンザ・ワクチンを受けられることをお勧めします。

キーワード:予防接種スケジュール、水ぼうそう(水痘)の予防接種

2000.12.3

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塚田こども医院Q&A2000年12月