熱性けいれんと予防接種

こどもの予防接種の時期について教えて頂きたくお願いします。3人とも熱性けいれんを発症し、予防接種をいつ行なえば良いかについて教えて下さい。(以下略)(長岡市・Tさん)

まずは、熱性けいれんのことから。お子さん方、3人ともおこしたことがあるとのことで、ご心配されていることでしょう。通常は生後半年ほどから始まり、5、6歳までおこしがちです。頻度は8%程度と言われていて、それほど珍しいものではありません。家族性もあるようで、きょうだいそろっておこしやすいというご家庭もあります。(お父さんかお母さんのどちらかが、子どもの時におこしているのではないでしょうか)

熱性けいれんは、単純型と複雑型に分けて考えています。単純型は「たちの良い」もので、高熱でおき、数分以内におさまろ全身性のものをいいます。2回以上おきていると、それ以上おこさないようにと、ダイアップという坐薬を発熱時に使うことを行っています。(回数が多くても、そのたびにきちんと収まっていれば、後遺症などがおきることはないのですが、でもまたおきてしまうのはイヤですよね。)きょうだいでおきている場合には、1回でも、次の発熱時からはダイアップを使うことをお勧めしています。その意味で、3人とも今度5、6歳になるまで、熱性けいれんの予防をされるといいと思います。

次に、予防接種との関連ですが、単純型の熱性けいれんでは、とくに予防接種の制限はありません。どの予防接種も安心して受けて下さい。(複雑型では、主治医の先生の意見を聞き、できればその先生に接種してもらうといいと思います。)

以前は「けいれんをおこしてから1年間は予防接種は禁忌」とされていましたが、予防接種法は1994年に改正され、この項目は削除されました。医学的知識の変化に対応したもので、現在、「1年間はしない」としている先生は少なくなったのではないでしょうか。

といっても、けいれんをおこした直後に予防接種をするのは、やはりためらわれますので、数か月間あけて、その間の様子を見ながら受けてもらっているのが、大半の小児科医の対応だと思います。私は3か月ほどあけていることが多いです。

しかし、一方で、熱性けいれんをおこしやすい子どもは、本物の病気にかかると、そこでまたけいれんをおこしやすいので、むしろ積極的に予防接種を受けておくべきであるとも考えられます。その一つが、インフルエンザです。インフルエンザは、数時間以内に急激に高熱がでる病気ですから、熱性けいれんをおこすことがまれではありません。ですので、熱性けいれんをおこしやすい子は、できるだけきちんとワクチン接種をうけておいたほうがいいとお話ししています。

インフルエンザ予防接種は、できれば年内に受けておいた方がいいので、もしけいれんをおこしてから間が無くても、単純型熱性けいれんと確認できる子については、できるだけ受けるようにしてもらっています。この季節は、それだけの緊急性があります。

最後に、それぞれの子どもさんのワクチン接種についてです。3人とも、インフルエンザ予防接種を最優先で、できるだけ年内にすませるようにしてみて下さい。

なお、HPの中で、これらに関連したところがありますので、ご参考にされて下さい(とくに「ブックレット」のシリーズは、長いですが、わかりやすいはずです。)

キーワード:熱性けいれん、予防接種

2000.11.27

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塚田こども医院Q&A2000年11月