多動傾向のある子ども

3歳児検診で、他動の傾向が見られるのではないか・・と言われ、相談を受けることになりました。相談室の先生は、気にすることはない、そのようには見えない。とおっしゃって下さったのですが、そこで・・先生教えて下さい。どんなことを基準にして、「注意欠陥/多動性障害」(ADHD)ではないかと判断するのでしょうか。 (上越市・TMさん)

多動傾向のあるお子さんは、決してめずらしくはありませんが、私は小児の心理・精神の専門ではないため、それが病気といえるのかどうかは、なかなか分かりません。「診断基準」が手元にありますので、ご覧になって下さい。

注意欠陥/多動性障害の診断基準(DSM−IV;1994を簡略化)

A (1)か(2)のどちらか
(1)以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6か月以上続いたことがあリ、その程度は不適応的で,発達の水準に相応しないもの 
不注意
a. 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす
b. 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である
c. 直接話しかけられたときにしばしば聞いていないようにみえる
d. しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動、または指示を理解できないためではなく)
e. 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である
f. 精神的努力の持続を要する課題(学業や宿題)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う
g. 課題や活動に必要なもの(たとえばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)をしばしばなくす
h. しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる
i. しばしば毎日の活動を忘れてしまう
(2)以下の多動性一衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6か月以上持続したことがあり,その程度は不適応的で,発達水準に相応しない
多動性
a. しばしば手足をそわそわと動かし,または椅子の上でもじもじする
b. しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる
c. しばしば,不適切な状況で,余計に走り回ったり高い所へ上ったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない)
d. しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない
e. しばしば“じっとしていない”または、まるで“エンジンで動かされるように”行動する
f. しばしばしゃべりすぎる
衝動性
g. しばしば質問が終る前に出し抜けに答え始めてしまう
h. しばしば順番を待つことが困難である
i. しばしば他人を妨害し,邪魔する(たとえば会話やゲームに干渉する)

B 多動性一衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以前に存在し、障害を引き起こしている

C これらの症状による障害が2つ以上の状況において〔たとえば学校(または仕事)と家庭〕存在する

D 社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない

E その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、または、その他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(たとえば気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない

これを見る限り、多動傾向だけでは、病気としては扱わないでいいと思います。いかがでしょうか。

2000.3.10

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塚田こども医院Q&A2000年3月