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2009年05月20日

保育園は休園したら・・

 今日は日差しが強く、夏を思わせるようなお天気でした。外にいると汗ばむほど。春からいっきょに季節は進んでいるようです。

 午後休診を利用して、嘱託医をしている小学校や保育園で子どもたちの健診をしてきました。元気な子どもたちの姿を見ると、こちらも元気になるものです。

 健診をしながら、こんな子どもたちの間でもし新型インフルエンザが流行したらいったいどうなるだろう、と不安になりました。弱毒であり、普通の季節性インフルエンザと同じ程度の症状だと言われていますが、それでも流行が始まったら影響はけっして小さくないでしょう。

 国内でもっとも早く流行の始まった兵庫県や大阪府では、拡大防止のために学校などを休みにしました。その中には保育園も含まれていますので、親御さんは対応に苦慮されていることと思います。(今日からは滋賀県の一部でも始まりました。)

 教育施設である学校や幼稚園とちがって、保育園は福祉施設です。「保育に欠ける子どもたちを、保護者の代わりに保育する」のがその役割。親御さんはみな仕事をもっていたりしています。

 天災や事故で園が使えなかったり、命にかかわるような感染症が発生しているというのであれば、保育園も休園することは仕方ないかもしれません。しかし、今回は「弱毒性のインフルエンザ」です。実際に園やその周囲で発生しているわけではないのに、1週間ものあいだ休みにするというのは、いささか乱暴すぎないでしょうか。

 そしてそれが突然始まるというのも、困ったものです。相手がウイルスですから仕方ないのかもしれませんが、急に園を閉鎖するといわれて、働いている親御さんがスムーズに対応できると思う方がおかしいですよ。

 私もわたぼうし病児保育室という保育施設を運営しています。もし行政から休園するように要請があったらどのように対処すべきか、悩んでいます。法的には「福祉施設」ですし、さらに公立でもなく、自治体の認可を受けているわけではないので、必ず従わなければいけない立場ではありません。基本は「無認可」の民営施設です。

 そして何よりも、子どもが急に病気になったときに親御さんがお仕事を休めず、子どもも親も困った状況におちいることを回避するための“セーフティー・ネット”としての働きを担うために作り、これまで運営してきました。8年ほどの歴史の中で、一人もお断りすることなく、依頼を受けた子どもたちをすべてお預かりしてきました。累計でのべ1万人ほどになります。

 もちろん新型インフルエンザにかかったお子さんをお預かりすることは、当面はありません。(いずれ季節性インフルエンザと同じ扱いでかまわないという状況になれば、対象になるでしょう)。でも、地域で新型インフルエンザが発生したり、流行しているという状況だというだけでは、わたぼうし病児保育室を閉鎖する理由にはならないと、今は考えています。

 ただし、保育体制をきちんと維持することには困難もあるでしょう。保育士が勤務できないかもしれません。医院の職員も休む人が多くなれば、医療機関としての機能することも不可能になってしまいます。

 さらに、もしかしたら保育の希望が殺到するかもしれません。一般の保育園や幼稚園が休むことになったとき、病児のための保育施設ではありますが、「わたぼうし」がふつうにお子さんを受け入れていることが伝えられると、無理に子どもを病気にして(?)預けたいと思う親御さんが、いないとも限りません。

 どんな状況になるかはその時になってみないと分からないのですが、でも、親御さんが困った時にお役にたちたいと思い、いろいろな子育て支援を実施してきました。その基本的な考え方は、新型インフルエンザ流行という事態が進行しても貫きたいと思っています。

 いや、そんな大変な時だからこと、当院や「わたぼうし」の出番です。そんな時こそ、みんなに元気になってもらえるよう、きちんと仕事をしていきたいと、今は考えています。(でも実際にどうなるやら・・)

投稿者 tsukada : 2009年05月20日 23:59