読売新聞「気流」欄2001年4月18日掲載
不安なお母さん励ますのも大切
「乳幼児の健診で気分が沈んだ日」(11日)を読み、私も小児科医として、同じようなつらい思いをお母さん方にさせていたのではないかと、反省しています。専門家の何気ない一言が、お母さん方の自信を失わせることもあるという事実に注意しなければならないと感じました。
お母さん方を戸惑わせる原因には、言葉使いの問題ばかりでなく、健診の役割や性格が、社会の変化に対応していないことにもあるように思います。
かつて食べ物が不足していた時代には、子どもの栄養状態や健康状態をチェックするためにる種の物差しを使い、「正常」と「異常」をはっきり評価する必要がありました。でも、社会が豊かになった今では、むしろ、体や心の成長はみんな違うという観点に立ち、個性を大切にしながら、より良い成長を考えるという方向で、健診の在り方も変えていくべきでしょう。
確かに最近は、児童虐待の可能性も考えながら、発育状況をチェックしなければならないという事情もありますが、「孤育て」とも言われるように、社会や夫からも十分な理解が得られない中で、頑張って子育てをしている多くのお母さん方を元気づけることも健診の大切な目的のはずです。
「あなたが頑張っているから、お子さんがこんなに大きく、立派に育っているよ」--。こんなメッセージを心をこめて伝えていきたいと思います。
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