新潟日報夕刊「晴雨計」(1)
小児科はちょっと変わっています。内科、外科をはじめ、ほかの科はみんな専門が決まっていますが、小児科にはそれがありません。子どもであればまずは小児科。熱や咳もそうですし、耳も目も皮膚も、具合が悪ければまずは小児科へどうぞ。
小児科はいわば「何でも屋」。専門はないけれど、子どもという人間を丸ごと全部診ています。
小児科は、生まれたすぐの赤ちゃんから、中学卒業までを担当します。
中学生にもなるとJRの運賃は大人料金ですし、体つきももう大人顔負けですが、それでも小児科の領域です。もっとも当の本人たちは、いかにも小児科らしいピンク色の建物に入っていくのをいやがるので、内科で診てもらうこともありますが。
その体格の差はすごいです。生まれた時がだいたい身長50センチ、体重3キロ。それが中学生の男子は170センチ、60キロくらいになります。身長では3倍以上、体重にいたっては20倍も違ってきます。
わずか十数年でそれだけ大きくなるのは、やはり子どもの特徴です。毎日といっていいほど変化を続けます。体だけではなく、心の変化も劇的。年齢によってものごとの見方、考え方がぜんぜん違います。とうぜん私たちの接し方も、子どもの年齢によって異なってきます。
親御さんに優しく抱かれた小さな赤ちゃんが、心身ともにぐんぐん大きくなり、自立への道を歩んでいきます。私たちはそれを「成長」と呼び、子どもの診療をする際にとても大切なことだと考えています。だから子どもたちを専門に診療する小児科があり、小児医がいるのです。
しかし、今の日本は極端な少子化が進み、小児医療も大きな曲がり角にたっています。
小児科医の一人として、日々の診療の中から感じていることをこの欄で書いていこうと思います。しばしお付き合い下さい。
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