2010年3月号(231号)
真冬の厳しさから一転して春の陽気・・この冬は気まぐれなお天気に振り回されました。
年度末になり、大きな行事が続きます。体調にも気をつけてお過ごし下さい。
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今月の話題
●新しいウイルスとの付き合い方
●【子どものワクチン】小児用肺炎球菌ワクチン
●髄膜炎予防のために
●お知らせ
●感染症情報
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●新しいウイルスとの付き合い方
昨年秋に大流行をおこした新型インフルエンザは真冬にはさほどはやらず、季節性インフルエンザもほとんど発生せず。胃腸炎の流行は秋ではなく冬に大きくなる・・。
ウイルスたちはいつもと違う振る舞いをしているようです。これからどうなるのか、なかなか予想がつきません。ウイルスのことはウイルスに聞け、と言った学者がいましたが、ぜひどなたか聞き出して下さい。
天気予報も中長期になるとあまり的中しません。地球全体が温暖化しているのか、寒冷期に向かっているのかも本当は分かっていません。
やはり自然現象は人智が及ばないことがある・・そう考えて、あらかじめあらゆる方向や場合を考えておく必要があります。そして臨機応変に対応することも大切です。
新型インフルエンザに私たちはどのように立ち向かってきたでしょうか。ワクチン接種はちゃんとできていたでしょうか。きちんと検証し、次に活かす。変えるべきものがあれば思い切って変える・・そうすることが社会をより良くすることにつながります。
でも日本人はどうも「喉元過ぎれば・・」。同じ轍(てつ)を踏みそうなので、心配しています。人類と新型インフルエンザとの付き合いは始まったばかり。気を抜かず、しっかりとした対策を作っていく必要があります。
●【子どものワクチン】小児用肺炎球菌ワクチン
新しいワクチンが登場しました。小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)がそれ。主に乳幼児の髄膜炎(ずいまくえん)を予防するのが目的です。
髄膜炎はとても重い感染症です。脳や脊髄といった中枢神経がウイルスや細菌の感染によって傷む状態。亡くなったり、重度の後遺症を残すこともあります。細菌性髄膜炎のうち過半数をしめるのがヒブ(b型インフルエンザ菌)で、次に多いのが肺炎球菌(約2割)。すでにヒブワクチン(アクトヒブ)は日本でも使えるので、プレベナーの発売によって、乳幼児の髄膜炎をそうとう程度、防ぐことができるようになります。
肺炎球菌はもともと鼻やのどの粘膜にいる細菌で、ふだんはひっそりしていますが、何かのひょうしに他の場所に入り込み、病気をおこします。髄膜炎のほかに菌血症、肺炎、中耳炎なども発症するので、ワクチン接種によってこれらの病気の予防にも役立つことでしょう。
接種の対象は生後2か月から9歳まで。標準的には生後7か月未満の赤ちゃんに、合計4回の接種を行います。年齢が大きくなると接種回数は減っていきます。
日本ではやっと始まったばかりですし、任意接種のために費用は全額が自己負担です。早急に公費に定期接種になり、すべての子どもたちが受けられるようになることが望まれます。当面は親御さんには何かと出費ではありますが、お子さんのためにぜひ受けていただくよう、お願いします。
なお、ヒブワクチンは供給体制に問題があり、希望されてもすぐに接種できない状態が続いています(来年には解消されるそうです)。このプレベナーは安定した供給が可能であり、当院でも今のところは希望された方にはすぐに接種できています。ご希望の方は医院へご連絡下さい(乳児は三種混合との併用をおすすめしています)。
※小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)
【任意接種】生後2か月〜9歳以下
<標準>生後2か月〜7か月未満・・合計4回
初回は4週以上の間隔で3回
(3回目は12か月未満に完了する)
追加は3回目接種後60日以上おいて1回
(標準は12〜15か月)
<標準的に接種できなかった方>
○7か月以上12か月未満・・合計3回
初回は4週以上の間隔で2回
追加は2回目接種後60日以上おいて1回
○12か月以上24か月未満・・合計2回
60日以上おいて2回の接種
○24か月以上9歳以下
1回の接種
【料金】1回9,800円(消費税込み)
接種は予約制です。ご希望の方は早めに医院へご連絡下さい。
●髄膜炎予防のために
医学生の小児科実習で見たことが今でも忘れられません。それは意識がなく、ベッドに寝たっきりになった幼児の姿・・髄膜炎にかかり重度の後遺症をのこしたお子さんです。小児科の教官はしっかりと目に焼き付けておくように言われました。髄膜炎を見のがし、治療が遅れると重大な結果をもたらすこともあるのだという教訓です。
小児科医になってから、髄膜炎だけはきちんと診断をつけ、一刻も早くきちんと治療をしようと心がけてきました。しかし乳児の髄膜炎は典型的な症状(発熱、強い頭痛、くり返す嘔吐など)がでにくいため、診断に苦慮することも少なくありません。
細菌性髄膜炎の原因菌はヒブ(b型インフルエンザ菌)と肺炎球菌が75%ほど。それらを予防できるワクチンができたことは、長く小児科医をしてきましたが、画期的なこと。もしすべての乳幼児がこれらのワクチンを受けてあれば、髄膜炎の心配をさほどせずに診療を行うことができます。
もちろん小児科医にとってメリットになるだけではなく、実際に細菌性髄膜炎をおこさなくなるわけですから、子どもたちにとっても、親御さんにとっても、そして社会にとっても大きな意味があります。ぜひ多くの子どもたちに、これらのワクチンを受けてほしいと願うものです。(そのためには「任意接種」がネックであり、早急に「法に基づく接種」になる必要があります)
髄膜炎を予防するワクチンがもう一つあります。おたふくかぜワクチンです。おたふくかぜにかかると数十%に無菌性髄膜炎を合併します。症状は軽くすむことが大半ですが、頻度はとても多いものです。おたふくワクチンを接種しておけば、おたふくになることも、そして髄膜炎を合併することも確実に予防してくれます。
それなのにおたふくワクチンを受ける子どもたちは多くありません。「任意接種」だからです。
子どもたちの髄膜炎を予防する・・そのためにワクチンという手段をもっているのに、有効に使われていない。そんな現状に、小児科医としてもどかしさと憤り(いきどおり)を感じています。
●お知らせ
○3月第1週は「こども予防接種週間」。子どもたちの健康や命を守るために予防接種は重要。その意味を見直していただく趣旨です。
○今春小学生になる子どもたちは入学の準備中ですね。麻疹・風疹ワクチンはすんでいますか? まだの方は年度内に必ず接種を。
●感染症情報
昨年春に発生し、瞬く間に世界中に拡大した新型インフルエンザは、日本では昨年秋に大流行になりました。2,000万人近くが感染したといわれています。真冬には2回目の流行の山がおとずれるとも予想されていましたが、どうもそうではなかったようです。
季節性インフルエンザの流行もほとんどなく、インフルエンザ全体としても下火に向かっているようです。しかし油断はできません。引き続き今後の動向に注意をお願いします。
感染性胃腸炎が冬場になって流行してきました。例年では秋から初冬に流行し、真冬には少なくなるのですが、今シーズンはまったく異なる振る舞いをしています。
大半はノロウイルスだと言われています。急に吐いたり下痢をしたりし、脱水が心配になります。園や学校、家庭などでの集団発生もあり、移し合わないように気をつけていて下さい。。
マイコプラズマ感染症の発生はまだ多めです。気管支炎や肺炎をおこし、咳がとても強くなる感染症です。溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)なども今シーズンは少なめですが、それでも次第に増えてきた印象です。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)はいくつかの園などで集団発生があります。ワクチン接種で予防できます(任意接種)。麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。
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