2009年2月号(218号)
雪の少ない冬を過ごしています。
過去数年間では最も「暖冬少雪」。
でもインフルエンザ流行は最大になりそうです。
健康管理に十分注意をし、冬を乗り切ってください。
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今月の話題
●オバマ新大統領と医療改革
●ハドソン川の“当然”
●【子どもの救急】オシッコのトラブル(2)
●【特殊検査】細菌検査
●お知らせ
●感染症情報
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●オバマ新大統領と医療改革
アメリカ合衆国で新しい大統領が誕生しました。オバマ氏。初めての黒人(アフリカ系)大統領です。
激しい人種差別があった国に、差別され続けてきた(そして今でも差別されている)黒人が最高指導者に就くことは、この国がどの方向に向いているのか、明確なメッセージを感じます。戦争、テロとの戦い、経済危機・・とてつもなく大きな問題を抱えているアメリカを、必ずや再生させるという強い意志も感じます。
医療関係者としては、アメリカの医療がどうなるか、関心があります。公的な医療保障サービスがほとんどなく、大半は民間の保険会社任せ。その結果、中流以下の国民は適切な医療を受けられない状況になっています。
アメリカが見本にしているのは日本の医療制度だそうです。「国民皆保険」という制度によって、すべての国民が公的な医療保障を受けられる制度ができています。平均寿命や乳児死亡率では世界一を誇るほどの高い医療水準になる一方、医療費は先進国の中で最も少なくてすんでいます。
でもその日本では「医療崩壊」が進行しています。それは医療費をこれまで以上に少なくしようとしたからです。日本の医療制度が「世界のお手本」になれるような日が、必ずややってくることを信じていたい、そう思っています。
●ハドソン川の“当然”
先月、アメリカでジェット機が川に不時着するという事故がありました。ニューヨークの空港を離陸した直後に両翼のジェットエンジンに鳥(大型で大量の?)が吸い込まれて停止。飛行できなくなったジェット機を、わずか3分後にハドソン川に着水させ、155人全員が無事救助されたというものです。
おそらく極限に近い状況で、極めて短い時間に、だいたんな判断をし、それを実行する勇気と精神力。そして、正確に機体を操作する技術。そのいずれも兼ね備えていた機長に大きな賞賛が寄せられたのは当然でしょう。マスコミは「ハドソン川の奇跡」とたたえました。
アメリカの映画では、機長がガッツポーズをしながら操縦席から出てくる・・そんなふうに描かれそうです。でもこの機長は違いました。乗客と乗務員の全員が避難したあと、それを確認するために数回、機内を歩き、一番最後に救助されました。その冷静で、機長としての責務を最後まで全うしようとした姿は、クールです。
機長の故郷であるカリフォルニア州での記念式典では、集まった3,000人を前に、「訓練してきたことを実践しただけ」と語ったそうです。
パイロットはおこりうるあらゆる事態に対して、迅速で正確な対応ができるよう日頃から訓練を受けています。ハドソン川でおきたことは決して「奇跡」ではない、「当然」のことなのだということなのでしょう。これが本当のプロフェッショナル! こんな生き方をしてみたいです。
●【子どもの救急(49)】オシッコのトラブル(2)
オシッコの中に細菌などが入り込んでおきる「尿路感染症」は、小児科ではたびたび問題になります。
腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に降りてくるオシッコは無菌状態です。しかし、オシッコの出口である尿道からはたえず少しずつの雑菌が膀胱に入り込んでいます。排尿すると汚れかかった膀胱内のオシッコが外に出るので、また膀胱内はクリーンな状態に戻ります。
外から大量の雑菌が膀胱内に入ってしまうと膀胱炎を起こしてしまうことがあります。女の子ではウンチをした後、お湯で洗ったり、トイレットペーパーで拭く方向を「前から後ろに」するなどの注意は、膀胱炎を起こさないようにするためです。
膀胱炎の症状は頻尿、残尿感、排尿痛などです。しかし、乳幼児ではこのような症状はありません(あるかもしれませんが、分かりません)。しかし、細菌が膀胱より上の尿管や腎臓の中に入り込みやすいので腎盂腎炎(じんうじんえん)となりやすいのです。そうすると熱を出します。抗生物質による治療が必要です。
オシッコの流れは通常は上から下への一方通行。しかし、まれに膀胱内の尿が尿管に逆戻りする例があります。尿管と膀胱のつなぎ目が生まれつき異常があるためです。この「膀胱尿管逆流現象」があると、尿路感染症を繰り返しおこしてしまいます。程度が強いと、抗生物質がなかなか効かない難治性の感染症をおこしたり、腎臓の形が壊れてしまうこともあります。手術が必要になるかもしれません。
尿路感染症が発熱の原因であることがあります。小さな赤ちゃんは熱以外に何も症状がなく、尿の検査をしてみない限り知ることができません。とくに生後半年までの赤ちゃんはお母さんからの移行免疫が残っていて、風邪などで熱を出すことがあまりありません。もし熱をだしたら、できるだけ尿の検査を行い、尿路感染症をおこしていないか、見分けることが大切です。
●【特殊検査】細菌検査
小児科の外来医療では最も患者数が多いのは何らかの感染症。その中では普通感冒やインフルエンザといったウイルスによるものが多いわけですが、細菌(ばい菌)もけっして少なくありません。
概して細菌性感染症はウイルスによるものよりも重い症状がでます。そして適切な抗生物質をきちんと使用することが必要になります。
そのためには細菌の種類を調べる検査が必要になります。「培養検査」はその代表。少量の細菌を時間をかけて増殖させて調べていきます。痰、血液、便などの細菌検査はこの方法で行います。(例えば血便の原因が病原性大腸菌0-157かどうかを調べる時には外注検査に出しています)
しかしこの検査方法は時間がかかるため、外来ではさほど行われていません。通常の感染症であれば、問題になる細菌がだいたい決まっているので、さほど治療が難しくなることはありません。
また、尿路感染症では顕微鏡でそのまま尿をみると細菌の種類がかなり推測できることもあります。
●お知らせ
☆インフルエンザ警報が1月下旬に発令されました。学級閉鎖も相次いでいます。マスク、手洗い、うがいなどの励行をお願いします。
☆マスクは予防にはあまり役立ちません。しかし感染症を他に移さない効果はあります。咳やくしゃみの出る人は必ずマスクを!
●感染症情報
インフルエンザの流行が12月中旬より始まり、1月中旬からは規模が非常に大きくなっています。ここ数年では最も患者数が多くなる可能性があります。終息するまで1、2か月はかかるでしょう。当地ではA型が主ですが、一部にB型も発生。違うタイプなので、複数回のインフルエンザにかかることがあります。(A型にも2種類あります。)
抗インフルエンザ薬のうち、タミフル(内服)はAソ連型に効果がないとの報道もあります。B型に対する効果も弱いため、年長の子どもたちや大人に対してはリレンザ(吸入)を使うことが多くなりました。だるさや寒気に対しては漢方薬も使用しています。高齢者はインフルエンザにかかっても発熱しないこともあります。もし呼吸数が多くなったり、顔色を悪くしている場合には早急に受診し、よく診てもらって下さい。
その他では感染性胃腸炎も目立ちます。脱水が心配な感染症です。水ぼうそう(水痘)も引き続き流行中。感染力が強いので、園などで一挙に流行します。ワクチンで予防可(任意接種)。
溶連菌感染症は少なめですが、時々見かけます。マイコプラズマ感染症がまだ多く発生しています。麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生は当院ではありませんでした。
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