2008年12月号(216号)
2008年も今月で終わり。
もう年末・年始の準備にとりかかる頃になりました。
一年を振り返りながら、新しい年を迎える支度をして下さい。
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今月の話題
●日本の子どもたちにもワクチンを!
●電子カルテで新しい診療スタイル
●【子どもの救急】尿のトラブル(1)
●【特殊検査】抗体検査(1)
●お知らせ
●感染症情報
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●日本の子どもたちにもワクチンを!
「世界の子どもにワクチンを」という運動があります。東京のNPO法人が15年ほど前から行っています。ミャンマーなど、発展途上国にワクチンを贈ろうという活動です。
当院もこの団体を支援し、お手伝いしてきました。当院で予防接種すると1回につき100円(ポリオワクチン5人分)を寄付するという「医院のルール」もあり、寄付の総額は500万円近くになりました。
私たちの子どもたちが日本に生まれ、命にかかわるような大きな感染症の心配をしなくてすんでいるのはとても幸せなことです。その幸せを地球上にすむ他の国の子どもたちにも届けてあげたいと願っています。
でも・・ときどき逆に思うこともあります。日本の子どもたちが、本当に必要なワクチンを受けられているのだろうか、と。インフルエンザ、おたふくかぜ、水ぼうそうなどのワクチンは公費では行っていません。海外で広く使われているいくつかのワクチンが、まだ日本では接種できないままです。
「日本の子どもたちにもワクチンを!」そんな運動も展開しなくてはいけないようです。
●電子カルテで新しい診療スタイル
先月より電子カルテを導入し、診療のすべてをコンピューター上のカルテで行っています。当院が開業して18年半がたちますが、おそらく最大の出来事であり、診療方法の転換でしょう。
これまでに受診されたことのある患者さんの数がとても多くなったことが、電子カルテ導入の大きなきっかけでした。小さな診療所とはいえ、数万人分のカルテがあり、その保管や管理には頭を悩ませていました。
電子カルテに完全に移行したことで、紙カルテはもう使いません(もちろん廃棄するわけではなく、院内に永久保存し、管理を続けます)。そのおかげで日々の診療が、コンピューター上の操作だけですむようになりました。受付の後ろにあった大きな移動式カルテ庫も不要になり、先日撤去しました(事務用の作業スペースが大きくなりました)。
私の診療もすべてコンピューターに記録します。当初はその操作に手間取ったり、慣れずに時間がかかったりしていましたが、1か月でその問題もほぼクリアできたように思います。
一方で新たな問題もあるようです。それは過去の記録を見ようとすると、紙カルテでは一目で分かる場合が多いけれど、電子カルテでは以前の記録を丹念に読んでいかないといけない、といった点です。これからもいろいろと工夫をしながら、弱点を克服していこうと思っています。
患者さんには診察券や薬剤情報提供書が分かりやすくなったということで好評をいただいています。これからもどうぞよろしくお願いします。
●【子どもの救急(47)】尿のトラブル(1)
尿(オシッコ)は腎臓で作られ、膀胱にためられ、そのあと体外に排出される液体です。その中には体内で不要になった老廃物が多く含まれています。腎臓で尿が作られますが、体の水分、電解質などの調整も行っています。もし腎臓の働きが悪くなると、体にとって不要で、ときには害になる物質が多量に残ってしまうことになります(尿毒症)。また余分な水分を出すことができなければむくみ(浮腫)がおきます。
腎臓の働きには余力が大きいので、軽い腎炎などでは症状がすぐにはでないことがあります。そのため、園や学校では一年に一度は尿検査を行い、腎臓の状態を確認することになっています(腎臓検診)。
尿の中に赤血球があったり(血尿)、たんぱく質が一定量以上ある(たんぱく尿)場合には腎炎などの病気も疑われます。そんな時には尿検査を繰り返したり、より精密な検査をしたり、血液検査なども加えての診察を受ける必要があります。園や学校の指示に従って下さい。
もっとも、尿検査で「異常」とされても、ただちに病気だとはいえないこともあります。わずかな血液が尿に混入するだけでも「血尿」になりますので、女子では生理中などは検査を避けるようにしています。「たんぱく尿」が正常な腎臓なのにおきることもあります。例えば強い運動をすると多少はでるものですし、お子さんによっては立っているだけでたんぱく尿になることもあります(体位性たんぱく尿)。また風邪などで高熱があると、やはり尿にたんぱく質がでてきやすくなります(熱性たんぱく尿)。
逆に、大きな腎臓の病気があるのに尿所見だけではなかなか分からないこともあります。
腎臓が悪くなると、疲れやすい、食欲がなくなる、顔色が悪くなる、貧血になるなど、何となくどこかがヘンだという状態になってきます。おかしいなと感じたら、一度尿検査も受けてみることをお勧めします。
●【特殊検査】抗体検査(1)
小児医療は感染症の診断や治療が大きなテーマです。予防のために各種のワクチンも積極的に接種しています。ウイルスや細菌などに対してどのような免疫を持っているかを調べることが時々あります。抗体検査と呼ばれているものです。
病気の種類によっても多少違いますが、抗体検査が陽性で、免疫があるということは、その感染症にかかった、またはワクチンを受けたことを意味しています。十分に高い抗体価があれば、同じ感染症にはもうかかりません(例外もあります)。
例えば麻疹(はしか)のワクチンを2回以上接種すると、強い免疫ができ、さらにほぼ一生続くと言われていますが、もし抗体検査をすれば、免疫の様子がよく分かります。また症状だけからでは診断がつかない時には抗体検査を行い、診断を確定することもあります。
妊娠前の風疹抗体検査も、妊娠中に風疹にかかるおそれがないかどうかを調べるものです。
●お知らせ
☆子どもの髄膜炎を予防するためのヒブ・ワクチンがいよいよ今月発売されます。詳細については来月の通信などでご紹介します。
☆臨床心理士による「心の相談室」を行っています。ご利用が増えているので、週2日(月・木)に増やしました。ご利用下さい。
●感染症情報
先月(11月)はしだいに風邪などの患者さんが増えてきました。例年より初雪が早く降る一方で、温かい日もあり、体調を整えるのに一苦労です。健康管理に気をつけていて下さい。
感染性胃腸炎が増加中です。多くはウイルスによるものです。急に嘔吐と下痢が始まり、数日で良くなっていきます。しかし乳幼児や高齢者は脱水になることがあり、油断はできません。グッタリとしている場合には早く受診し、治療を受けて下さい。
水ぼうそう(水痘)も増えてきました。とても伝染力が強く、園などで発生があると、周囲の子どもたちに次々と拡がっていきます。地域全体に流行が拡大しているようですので、ご注意を。
マイコプラズマ感染症がまだ多く発生しています。気管支炎や肺炎をおこし、咳がとても強くなるのが特徴です。溶連菌感染症も少しずつ増えてきました。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が一部の保育園で流行し始めました。ここ数年、当地での流行がなく、免疫をもたない子どもたちが増えているので、今後大きな流行になる可能性があります。
麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。
インフルエンザの発生は当院ではまだありません。しかし全国各地で発生が少しずつ報告され始めました。過去には12月に大流行になった年もありますので、十分に用心していて下さい。インフルエンザの流行発生はまだ全国的にも報告されていません。
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