2007年4月号(196号)
今冬のインフルエンザは、結果としては大規模なものになりました。そして春というのにまだ流行が続いています。
タミフルのことも含めて、不安な季節を過ごされたことでしょう。
一日も早く終息し、安心して生活ができるようになるといいですね。
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今月の話題
●桜も「みんなちがって、みんないい」
●【子どもの救急】もう一度タミフルについて
●【院内迅速検査】便の色調
●ポストの数だけ・・
●お知らせ
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■桜も「みんなちがって、みんないい」
春といえば桜が楽しみです。当地の高田城跡公園は「日本三大夜桜」の一つといわれるほどの華やかさを見せてくれます。
ソメイヨシノという品種が主になっていますが、これは江戸時代に植木職人が人工的に作ったもの。子孫を残す能力がないため、今でも接ぎ木をしながら増やしています。
日本中のソメイヨシノは、みな同じ遺伝子を持っている「クローン桜」です。一斉に咲き始め、一斉に満開になり、そして一斉に散っていく様子はとてもきれいですが、一本の同じ木なればこそ、なんですね。
でも気になることがあります。江戸時代から生きているわけですから、もうお年寄り。寿命はあと数十年だとも言われています。病気になると、一緒にダメになってしまいます。
これからは色々な種類の桜を植えてみてはいかがでしょう。違った色で、違った形で、違った時期に咲くというのも、またいいものです。
これって、人間の社会にも通じているようですね。
■【子どもの救急(27)】 もう一度タミフルについて
今冬のインフルエンザ診療はこれまでになく緊張したものになっています。それは治療薬のタミフルをめぐって、さまざまな情報が伝えられているからです。
タミフルを服用したインフルエンザ患者が異常行動をとり、ときに重大な事故につながることがある、というのが最初の情報でした。
当初は必ずしもタミフルの副作用だけとは言えず、インフルエンザそのものでも精神神経症状の出ることがあるので、慎重に使えば良いということでした。
しかし、その後さらに多くの事故例などが集められる中で、とりあえず十代の子どもには使用を中止するように厚生労働省から指示が出されました。
タミフルなどの治療薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える働きがあります。それを使用すると、体内でウイルスが増えなくなり、症状を早く軽減することができます。実際、使用してから2日程度以内には解熱することが多く、「特効薬」とまで言われてきました。
ここに来て副作用をおこす疑いが出されていますが、医学的な検討がまだ十分ではなく、その解明については今後しばらく時間がかかることでしょう。
しかし、一方では大きな社会問題になっています。インフルエンザの流行が大規模になっていることもあり、不安に思っている親御さんも多くおられます。
当面、9歳までのお子さんには注意をしながらタミフルを使用することができます。
いずれの年齢でも、症状が軽い場合には必ずしもタミフルが必要ではありませんので、対症療法をしながら、ゆっくり休んでいていただくという方法もあります。
リレンザという吸入薬がより副作用が少ないとして期待されていますが、全国的に品薄です。
次の流行シーズンまでに、この問題が解決されていることを切に期待しています。
■【院内迅速検査(13)】便の色調
便はときに色を見るだけで、病気の診断に役立つことがあります。
先天性の病気に「胆道閉鎖症」というものがあります。体内の有害物質を肝臓で解毒したあとに作られる胆汁を腸に運ぶ管(胆道)がうまくできていない病気です。体内に胆汁があふれてくるため黄疸(おうだん)が強くなり、次第に肝硬変になっていきます。生後2か月くらいまでに手術を受けないと、手遅れになってしまうと言われています。
生後1か月くらいの時に発見する必要がありますが、それは「便の色」で推測がつきます。黄色い色をした胆汁が便の中に出てこないために便が白くなるのです。
毎日おむつを替えている親御さんにとっては、ウンチは必ず目にしています。もしも生まれたばかりの赤ちゃんのウンチが白かったら・・すぐに小児科、または小児外科を受診してください。
黄疸についての血液検査をすぐに実施し、万一の時にはすぐに手術を受けられるようにします。
■ポストの数だけ・・
先日、ある病院の勉強会に呼ばれて講師をしてきました。テーマは「病児保育」について。医師、看護師さんら、多くの方にお話しすることができました。
わたぼうし病児保育室の運営について、興味深く聞いておられました。多くの施設では、病気の回復期の「病後児」を対象としていますので、急な発熱などで病状が安定していない時には、利用できないこともあります。
わたぼうし病児保育室は、そんな急性期の病児もお預かりしています。「急病」の時こそ、病児保育の必要性が高く、出番なのです。
「わたぼうし」と名付けたのは、このような病児保育室が全国各地に多くできてくることを願ったからです。できれば、かかりつけの小児科医院には必ず病児保育室が付属されているくらいになるといいな、などとも思っています。
昔、「ポストの数ほど保育所を」という運動がありました。戦後の混乱期から高度成長期にかけて、子どもたちの良い育ちを願う運動でした。それがある程度達成された今、これからは「小児科医院の数ほど病児保育室を」などというスローガンで運動していく・・そんなふうにも思ってみたのですが、いかがでしょう。
もっとも、肝心の小児科医が少なくなっている現状では、先に小児医療の確保が必要かもしれません。難しい世の中ですね。
(当院のホームページの「院長ブログ」3月9日より。一部改変)
■お知らせ
☆上越市の医療費助成拡大
●4月より、通院(外来)医療費の助成が6歳就学前まで拡大されます。
●これまでは5歳まででしたので、一層の充実になります。
●対象になるお子さんには市役所から「資格証」が郵送されますので、ご確認下さい。
☆上越市を舞台に作成され、今秋公開予定の映画『絆(きずな)』のロケが始まります。当院での撮影もあります。お楽しみに。
☆わたぼうし病児保育室の新年度の会員を募集しています。共働きなど、お子さんが病気の時の不安がある方はぜひご利用下さい。
■感染症情報
今年のインフルエンザの流行は例年より遅く、2月下旬から始まりました。予想に反してその勢いは増し続け、下旬には数年ぶりの大流行にまでなりました。
A型とB型が同時に流行していましたが、園や学校によっては“第一波”のあと“第二波”がやってきたところもあります。卒業式や修学旅行などの大切な行事にも重なり、大変な思いをされた方もおられることでしょう。
治療薬のタミフルをめぐっては、服用後に異常行動をおこす可能性があるとして10歳代の使用が中止になりました(それ以下でも慎重に経過を見ていく必要があります)。とても良く効く薬ですが、その使用にあたっては解決しなくてはいけない問題があるようです。今後の報道などに注意をしていて下さい。
インフルエンザ以外の感染症は、みな少しずつの発生でした。ウイルス性胃腸炎も少数の発生ですが、春先はまだ発生しやすいです。
水ぼうそう(水痘)とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も患者数は少なめ。いずれもワクチンである程度予防できます(任意接種)。
溶連菌感染症、マイコプラズマによる気管支炎・肺炎も少なめですが、確実に発生しています。いずれも早く抗生物質を使用することが治療のポイントです。
麻疹、風疹の発生はありませんでした。
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