2002年11月号(143号)
このところ急に寒くなりました。西の方から「雪おこしの雷」が轟き始めると、もう冬の支度を始めなさいと急かされているようです。冬はもうすぐそこまでやってきています。
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今月の話題
●小児救急の課題
●急な発熱でも慌てないで!
●Q&A「繰り返し訴える頭痛」
○短 信
○今月の感染症情報
○今月の予定−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■小児救急の課題
先日、岩手県で8か月の赤ちゃんが夜間に容態が悪くなったのに小児科医に診てもらえず、亡くなるという出来事がありました。救急病院に行きましたが、当直の眼科医が看取ったということです。小児科医が診ていれば結果は違っていたかもしれません。同じ小児科医として、無念な思いです。
この報道を受けて、小児救急医療の体制が不充分だと問題にされています。小児科医が24時間待機しているところは全国では約3分の1。新潟県では新潟市周辺だけとのことです。
子育ての中で子どもの急病への不安は決して小さくありません。そして小児科医一人ひとりの個人的な努力だけでは、「綱渡り」状態であり、自ずと限界があります。
小児科医の数がもっと増え、いつでも救急を受け入れる施設が整備されるのは、まだまだ先のことでしょう。でも、少しずつ良い方向に向かうよう、行政、病院、そして私たち小児科医も努力していかなくてはいけません。
みなさんのご意見もお聞かせ下さい。
■急な発熱でも慌てないで!
子どもの急病で一番多いのが「発熱」。急に熱をだすと心配になってしまうものですが、熱を出す病気の全てに緊急性があるわけではありません。多くはゆっくりと待っていていいものかと思います。
熱の出方が急激で、寒気を伴っているようなら、まずは暖かくしてあげて下さい。顔色が青白く、手足が冷たく、ガタガタと鳥肌立っているような時がそうです。
一度熱が出きってくれると、寒気がとれています。顔色も赤くなり、手足も火照ってきます。そうなってくれたら本人は暑がっているので、涼しくすると楽になります。
熱さましの薬(解熱薬)は、熱が出きった状態で使うと汗をかきながら少しずつ熱が下がり、楽になってくれるでしょう。でも、必ず熱を下げなければいけないわけではありませんし、逆に熱が下がりすぎることも心配ですので、あまり使い過ぎないようにお願いをしています。
熱以外に強い咳、呼吸困難、嘔吐、けいれんなどがあれば、重い病気にも注意を払う必要があります。また、顔色がとても悪い、あえぐような息づかいをしている、あまりにぐったりしているなど、全身の状態が悪いようでしたら、大きな病気の始まりかもしれません。早めの受診をお願いします。
子どもはどうしても風邪などの病気にかかるもの。しかし、その病気から治ることで少しずつ丈夫になっていきますし、それを見守る親も一緒に「親らしく」なっていくものです。
子どもが熱を出したとき、ただ慌てるだけではなく、子どもの様子をよく見たり、どのようなことが起きていてどうしてあげればいいかを考えながら、一緒に病気に向かい合ってみて下さい。
■Q&A「繰り返し訴える頭痛」
【ご質問】
小1の息子ですが、夏休み前より度々頭痛を訴えるようになりました。最初は2、3日に1回くらいだったのが、夏休みになるとほぼ毎日のようになったので病院を受診し、CT検査を受けました。結果は異常なし。ストレス性のものか片頭痛か・・・ということでした。(中略)どこからどこまでが心配しなくてもいい・しなくてはいけないのか分からないのです。(中略)子供の頭痛というものについて教えていただけませんか?(兵庫・Yさん)【お返事】
メール読ませていただきました。子育てって、大変ですよね。子どもはみんな違います。言い方は悪いですが「育てにくい」子がいるのも確かです。私にも経験があります。たえず不定愁訴があり、いろんなことを言ってきますし、いろんなトラブル(精神的にも肉体的にも)を起こしてくれます。いい加減「親」をしているのがイヤになって、何でこんな苦労しなくっちゃいけないんだ!などと投げだしたくなることもありました。(一応小児科医なので、あんまりみっともないことはしませんでしたが・・)でも、そんな子はどこかでしっかりと甘えたいし、親に寄りかかっていたい気持ちが強いんだと思います。どの子にもその気持ちがありますし、大切にしなければいけないんですが、でも、極端に言えば「放って置いても」何も言わないし、自分でどんどん何でもやって、勝手に進んでいく子もいますね。でもその反対に、親が自分では必要以上に手をかけているつもりなのに、もっと求めてくる(求めている)子もいるんだと思います。その違いはもって生まれた性格(個性)、育ちの中でのいろんな環境や出来事など、様々な要因があるでしょう。
そして大事なことは、その子に「安心」と「信頼」と「安定」の気持ちを作ってあげることだと思います。親御さんがいつでも一緒に付いていてくれる(小さいときには肉体的に、次第に大きくなってくると精神的に)という「安心」の気持ち。何かあればどんと受け止めてくれるという「信頼」の気持ち。そして、それらからくる「安定」した気持ち。そうしたものが次第にできてくると、不定愁訴は次第になくなっていくのではないかと思います。
頭痛を訴えているが、それが実際の脳の病気によるものではないということは確かめられているわけですので、あとは親御さんや周囲の大人たちが「ドンと構えて」話を聞いてあげて下さい。訴えて来ていることは事実ですし、本人にとっては頭痛はあるのでしょう。それを否定してはいけませんし、逆に振り回されてもいけません。「そうか、頭が痛いのか・・でも、それほどでなければ学校に行って大丈夫だよ」「何かあれば先生に言いなさい。迎えに言って上げるから・・」などと、その場の状況で「安心」できるような言葉かけや働きかけをして下さい。
「また始まった・・」などという気持ちで接すると、それが顔に出て、よけいに本人を不安がらせます。話はしっかりと聞き、受け入れる。その上で本人が安心できるように持っていって下さい。
そんなことを繰り返していくうちに、子どもはちゃんと成長していくものだと思います。一番必要なのは、そういった子どもの気持ちをきちんと受け入れる「大人の大きな心」かな、と思います。最初からそんな心をもった大人はいませんが、でも子育てを丁寧にしていくと、親にも「大きな心」が育っていきます。子育てって、子ども以上に大人が成長していくものなんだと思っています。
以上、まだ親を卒業できないでいる小児科医からのお話でした。参考にしていただければ幸いです。
■短 信
◇インフルエンザ予防接種を実施中
お申し込みは電話でどうぞ。
・TEL 0120-447709(無料)
・9時〜17時30分(水、土は12時まで)
・予約の変更もこちらへどうぞ。
■今月の感染症情報
10月も感染症の大きな流行はおきていませんでした。嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)、手足口病、りんご病(伝染性紅斑)は若干見かけていました。
嘔吐下痢症は冬場に多い感染症ですが、今年は夏にも少しずつ発生していました。今後寒さが厳しくなるとさらに流行してきますので、ご注意下さい。
水ぼうそう(水痘)がいくつかの保育園ではやり始めています。とても伝染力の強い感染症ですので、今後流行が拡大することも十分に予想されます。あらかじめワクチン接種を受けておくことで水ぼうそうにかからなくてすむか、かかっても軽くすませてくれます。希望される方だけへの任意接種ですが、ぜひ受けておかれるようお勧めしています。
現在、インフルエンザ予防接種を行っています。インフルエンザは例年1〜3月ころに必ず流行する感染症です。うがい、マスク、手洗いなどをお願いしていますが、なかなかそれらだけでは防ぎきれません。やはりワクチンがお勧めです。ぜひ年内に受けて下さい。(65歳以上の方へは公費による補助もあります。)
■当院から [感染症情報] を毎週お伝えしています
■TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
■FM−J(エフエム上越76.1MHz)=金曜13:30〜
■上越有線放送=月曜18時〜
■ホームページにアップロード
■i-Mode携帯へ送信(無料、毎週金曜ころ)
■今月の予定
■院長出務
・妙高中「思春期健康教室」 27日
・上越市乳幼児健診 20日
・谷浜小就学前健診 6日
・保健所未熟児相談 13日
■キッズスタディオン設立記念シンポジウム
「子どもたちの育ちを支える地域社会づくり」
10日14時 上越市民プラザ
■有線放送「健康ライフ」 21日朝6時〜
「冬に多くなる嘔吐下痢症など」
■FM-J「Dr.ジローのこども健康相談」
月曜午前9:15頃〜(76.1MHz)
・第1週=子育てアドバイス
・第2週=子どもの病気
・第3週=予防接種
・第4週=アレルギーの病気
・第5週=Q&A
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