妊娠中の風疹

初めまして、このHPのQ&Aで風疹に関する過去の検索が大変参考になりました。ですが、妻(初産で現在妊娠11週)のケースの方がより深刻そうなので心配でたまりません。妻の7週目の検診時に3週目の検診時の血液検査(HI法)で512倍という数値を知らされました。医師が次回は11週目に来てくださいと言うことで今回7週目の血液検査の結果を知らされたのですが、HI法で1024倍という数値を知らされました。11週目の検査結果は2週間後に分かりますが、次回2000を越えていなければよいがと言われています。(中略)発疹が無く、リンパ節が腫れていないので単純に免疫応答がブーストされたのだと信じたいところですし、母胎感染があってもそのうち胎児感染は20%という話ですから、まだ正常に生まれてくる可能性の方が大きいと妻に説明してなんとか安心させようとしています。どうか良いアドバスをお願いいたします。また、不運なことに最悪のケースになってしまった場合の検査方法と、その対処方法も知っておきたいのです。(東京・Tさん)

奥様の風疹抗体価が高いということで、ご心配ですね。
まず、基本的なことを少し整理しておきます。

抗体価の測定は希釈の倍数で行います。
2倍の違いは誤差の範囲であり、医学的な意味を持ちません。
つまり、「512倍→1024倍」は同じ程度の値です。
(測定の誤差でこれぐらいは違ってきます。)
意味を持つのは4倍以上の時です。

また、抗体価の上昇はそのウイスルに対する感染と考えていいのですが(例外は沢山あります)、感染=発症ではありません。
もともと風疹抗体があるところに風疹ウイルスが感染すれば、風疹ウイルスを殺す(中和)ために免疫応答がおき、抗体価は上昇します。
しかし、風疹ウイルスは体内に入ったすぐに殺されているので、風疹を発症することはなく、まして胎児に対する奇形を心配することはありません。

今回は妊娠が判明してから風疹抗体を検査していますよね。
いつも不思議に思うのですが、どうして妊娠する前に検査をしないのでしょうか。
奥様の年齢からして、きっとこれまで産婦人科を受診され、妊娠に向かって努力されてきているのではないかと推測しますが(そうでなければ失礼)、あらかじめ風疹抗体の有無を検査し、もし免疫がなければワクチン接種を行うことは、産婦人科の先生にとっては「常識」ではないかと思っています。
さらに、妊娠前に風疹抗体があれば、その後どんなに抗体が高くなっても(4倍以上の上昇、あるいは高抗体価)、なんら心配をすることがありません。
(しかし、こういったご相談が多いところを見ると、日本の産婦人科医療のレベルは残念ながら満足すべきものではないと思ってしまいます。)

風疹抗体の検査はいくつかがあり、それらを組み合わせれば1回の検査でも「初めての感染か」「再感染か」どうかも含めて知ることができます。
一番確実なのがIgM抗体の有無です。
この抗体は初感染のときにしか現れてきません(数ヶ月かかって消えていきます)。
つまりIgM抗体が陽性のときは、数ヶ月以内に風疹に初めて罹患したことを意味します。
IgM抗体が陰性であれば、少なくとも数ヶ月以内の感染ではないので、妊娠の初期の段階であれば妊娠中の感染は否定できます。
(この検査は数日で結果がでます)

今後どのように診察を受けるかは、ご自分で御判断下さい。
(主治医の先生が風疹について十分ご理解いただいているのでしたら、今のままでいいのですが・・)

2002.8.25

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塚田こども医院Q&A2002年 8月