塚田こども医院/ヘルス・レター 412
子どもの発熱の原因として、オシッコの中に細菌が入っておきる尿路感染症は意外と多いもの。
とくに年齢の小さな赤ちゃんは、気づかずにいると重症になることもあって、早めに見つける必要があります。
■尿路感染症とは
オシッコは腎臓で作られ、尿管を通って膀胱にたまり、尿道から体の外に出ていきます。この通り道(尿路)のうちで、腎盂(じんう)に感染がおきると「腎盂腎炎(じんうじんえん)」、膀胱に感染がおきると「膀胱炎」といいます。
子どもではどこが悪いかはっきりしないことが多いので、ひとまとめにして「尿路感染症」と呼んでいます。
■症 状
大人や大きい子の膀胱炎では排尿痛、残尿感などの自覚症状があります。また腎盂腎炎になると、腰の痛みや高熱がでてきます。
しかし、乳幼児の尿路感染症には、このようなはっきりした症状はありません。発熱だけのことが大半です。また、下痢、不機嫌、ミルクの飲みが悪い、お腹が膨れているなどといった症状のときもあります。
■原 因
大腸菌がオシッコの出口から入り込んでおきることがほとんどです。
膀胱の中は少しずつ外から菌が入っていますが、オシッコをすることで汚れたオシッコが外にでます。しかし、何かのきっかけで菌が繁殖し、尿路感染症になってしまうことがあります。
■検 査
尿路感染症になると、オシッコの中に普通はいない白血球が、細菌を殺すために多数現れます。
外来では簡単な試薬を使ってその場ですぐに分かりますし、顕微鏡で確認することも行っています(外注検査で翌日までに判明)。ただし、赤ちゃんなどではオシッコをとるのが大変で、おチンチンや外陰部に専用のパックを貼って、自分でオシッコしてくれるのを待つことになります。
■治 療
抗生物質を使います(内服または点滴)。
症状の軽いうちに早く見つけて治療を行うと、だいたいはすぐに良くなります。しかし、尿路感染症に気づかずにいると、敗血症や髄膜炎といった重症の感染症に進展することもあります。
■赤ちゃんの発熱
とくに生後6か月までの赤ちゃんは、風邪などで熱をだすことはあまりなく、発熱時はこの尿路感染症を積極的に疑って、必ずオシッコの検査をします。
また、何回も尿路感染症をおこしたり、感染症の程度が強い時には、尿路の異常があるかもしれませんので、専門的な検査が必要になります。(膀胱尿管逆流現象があると、この感染症を繰り返しおこしやすいといわれています。「一口メモ」参照)
■家庭での注意
(1)水分を多めに・・いつもよりたくさん水分をとって下さい。体の中の細菌を洗い流すような気持ちで。
(2)オシッコ・・・・オシッコをがまんしないこと、途中で止めないこと。女の子は最後のふきかたにも注意を。(前から後ろへ。ヘルス・レター414「女の子のケア」も参考に)
■(一口メモ)膀胱尿管逆流現象
オシッコの流れは「上から下へ」の一方通行で、膀胱におりてくるオシッコは「無菌」状態です。一方、体の外からは尿道を伝わって膀胱内にたえず細菌が入り込みますが、普通はオシッコをすると膀胱内が空になり、汚れたオシッコは残りません。
ところが、尿管と膀胱の「接続部」に異常があって、排尿時に尿管内に逆戻りするという病気があります。そうなると細菌のいるオシッコがいつまでも残ってしまい、簡単に尿路感染をおこしてしまいます。
この逆流現象の程度が強いと、重症の尿路感染症を何度も引き起こしたり、腎臓の発達にも悪い影響を及ぼしかねません。泌尿器科で詳しい検査を受け、必要があれば逆流がおきないようにする手術を行います。