« 今日届いたのは・・ | メイン | 看護実習が終了 »

2013年06月24日

風疹ワクチンが足りません

 当市(新潟県上越市)でも、成人の風疹予防接種に対する補助が始まるそうです。20日に市長さんが記者会見しました。

 開始は7月10日から。上越医師会と委託契約を結び、医療機関での個別接種という形で行われます。接種費用は風疹単独は5,500円、麻疹・風疹混合は8,000円を予定。そのうちの自己負担は単独ワクチンでは1,500円、混合ワクチンでは2,000円になるそうです。さらに、すでに受けている方は4月1日にさかのぼって適応を受けることができます。

 対象は(1)妊娠を予定、または希望する女性、(2)妊婦の夫、および同居の家族等となっています。

 当院は当初、この委託契約を結ぶように手続きをしていたのですが、途中で断念いたしました。ワクチンが全国的に不足していて、当院に入荷する見込みがたたないからです。

 その知らせは突然でした。先週、厚生労働省がワクチン需給の見通しを発表し、このまま任意接種を受けるかたが増えると、8月にはワクチン不足になる、と報じられました。そして翌日、問屋からワクチン納品の見込みなし、と連絡が入りました。絶句です。

 風疹単独ワクチンはもともと生産量が少なく、当院でも数か月前から接種できていません。代わりに麻疹との混合ワクチンを成人の方にも使っていましたが、それも入荷できないとなると、打つ手がありません。

 麻疹・風疹混合ワクチンは定期接種として1歳と、小学校入学前1年間の2回注射しています。子どもたちにとってはとても大切なワクチン。風疹だけではなく、麻疹の予防のためにも重要です。

 今回、成人に使うワクチンが必要になったからといって、子どもたちへの接種をやめて、そのワクチンをまわすということはできません。ごく短期間であれば一時的に融通することができるかもしれませんが、長期にわたると、子どもたちの感染のリスクが高まってしまいます。

 大人の方の中でおきている風疹の大きな流行をくいとめたい、そして先天性風疹症候群の赤ちゃんをこれ以上増やさないようにしたい・・そんな思いは強いのですが、当院としては「無い袖は振れぬ」状態。

 以前からワクチン接種を積極的に呼びかけてきた当院としては、とても残念です。申し訳ない気持ちでもあります。ワクチンの供給がスムーズになった際には、また取り組んでいこうと思っています。

 それにしても・・国の対応が後手後手です。風疹の流行は昨年から起きています。かつて予防接種を行っていなかった成人男性の方のなかで、さらに大きな流行になるだろうと予測されていました。

 成人の方への予防接種を法定接種にしたり、公費補助の制度を作ることもしてきませんでした。一部の自治体が公費補助に動いても、まだ国は動こうとしていません。

 それだけではなく・・いや、それ以上の大罪が「ワクチン増産を指示しなかった」ことです。メーカーによればワクチンの生産は1〜2年かかるとのこと。ここにきてやっとワクチン不足を認識するようでは、行政府として大いに問題があるのでは。

 国が「成人の方も風疹ワクチンを!」と呼びかけていながら、十分なワクチンを供給できないのでは、どこまで本気なのか、疑わしくなります。

 世界では、「日本は風疹ウイルスの輸出国」という非難が出始めています。かつて「麻疹の輸出国」といわれ、ここ10年ほどで小児へのワクチン接種を徹底することでその汚名をはらすことができたのですが。日本はまだ「ワクチン後進国」なのだと、つくづく思います。

 さあ、何とかしなくちゃ!

投稿者 tsukada : 2013年06月24日 15:58