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2013年04月18日

危機管理能力の欠如

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 当地の観桜会で携帯電話がつながらないトラブルは、メディアも積極的に取り上げ、大きな社会問題になっています。2つの新聞が記事を掲載しました。

 『上越よみうり』は15日紙面のトップ記事に。「超混雑 ケータイ普通に」の大きな見出し。内容を読んでいくと、ちょっと違和感があります。

 小見出しに「スタッフ間の連絡にも影響」とある通り、主催者側が自分たちの仕事に影響がでているというのがメイン。確かにその面もあるのでしょう。(そもそも交通整理などの仕事を携帯電話でするというのがどうかと思いますが)

 しかし、困ったのは来場者であり、周辺住民です。あえていえば主催者はその「加害者」です。「被害者」へ向けての言葉がありません。謝罪することも、今後の対応についても。

 取材の中でそのような発言があったかもしれませんが、そうだとしたら、記事にした記者や編集者の問題意識はどこにあったのか。近隣住民の「こんなことは初めて」という言葉を紹介していますが、それだけで十分とは思えません。

 『上越タイムス』の記事は翌日の16日に掲載されました。後追い(失礼!)になったためか、小さな記事でした。でもこちらの方は事態の原因に肉薄しています。

 TNNドコモに取材していますが、通話やデータ量が急増したための通信障害だと認めさせています。起こるべきして起きた事態だったということです。

 でも、やっぱりおかしいな!と感じます。ドコモはこの通信障害は13日(土曜)にすでに認識していたはずです。通信量はたえずモニタリングしていますし、通信障害がおきればすぐに対応する態勢を作っているはずです。

 移動式の中継車があるはずですし、全国のどこへでもすぐに出動できるようになっているはず。通信障害が発生し、それが翌日にも再現することは十分に想定されたわけですから、13日中に会場内外の通信状態を改善することは、物理的には可能だったはずです。

 でもそれをしなかった。結果、翌日の14日(日曜)も丸一日、通信障害を起こしてしまった。少なくとも14日の通信障害は「不作為によっておきた人災」だといえないでしょうか。

 主催者のコンベンション協会も、自分たちの業務に支障が出ているわけですから、何とか改善しなくてはいけない、とは思わなかったのでしょうか? 手をこまねいているだけだったとしたら、主催者のとしての責任を果たしていなかったと言わざるをえません。

 大きな災害がおきるたびに危機管理が問われます。通常の業務の中で、小さなトラブルでもていねいに対応し、そのたびに業務を見直すことをしていくことが、結果として大きなトラブルを防ぐことにつながります。小さなことをおろそかにしてしまうと、その結果、大きな問題を生じさせてしまうでしょう。

 この間の経過を見るかぎり、主催者のコンベンション協会も、携帯各社も、危機管理能力に疑問をもたざるをえません。通信手段は、現在社会にとってとても重要なインフラだという認識にも欠けているのではないかと思えます。

 この記事には近隣住民の一人として私の言葉が紹介されています。「来年以降改善を望みます」と話していますが、甘いかも。直ちにと言うべきでした。

 次の週末は大丈夫だろうか。幸い(?)サクラは散り始めているので、前回の週末ほどに混雑はしないでしょう。でも、コンベンション協会も、携帯電話各社もこれ以上の通信障害をぜったいに起こさないという決意をもって対応してほしいと思います。

 ところで、携帯電話の通信障害がおきるとよく全国ニュースになります。総務省が会社側に改善を要求したりしています。小さな田舎町でおきた、小さな(?)通信障害はそんなふうに問題はならないのでしょうか? 

 メディアの方には、次はぜひ携帯会社の本社や、担当の総務省に取材をしていただき、意見を聞いてもらいたいな、って思いますが、いかがでしょう。けっして小さなトラブルではないと思います。

投稿者 tsukada : 2013年04月18日 20:28