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2013年04月11日

県議会の視察風景

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 本日、新潟県議会の構成環境委員会の方々が当院のわたぼうし病児保育室を視察に訪れました。総勢10名ほどの議員さんが、議会の大型バスに乗って、新潟市から上越市へ。お疲れ様でした。

 視察は約1時間。最初は院長が病児保育の取り組みについて説明をし、議員さんからのご質問にお答えしました。場所は隔離棟を急ごしらえの特設会議場。こんなことはめったにないので、机やいすをそろえて、何とか形を作りました。

 当院の病児保育の最大の特徴は「断らない」こと。いわばポリシーにしています。お子さんが病気で困った時に、その親御さんの支援をするのが目的ですから、当たり前のことだとも思うのですが、決して簡単なことではありません。

 十分な保育士を確保し、施設・設備をととのえ、財政的な支えもある中でやっと実現できています。でもそのお陰で、親御さんの満足度も高いと思われますし、利用実績も日本で有数の規模にまでなりました。

 なぜ「断らない」のか・・いや、なぜ「断ってはいけない」のか。当院での実践の中から、具体的な数字も使ってご説明させていただきました。

 議員の方々からは様々な質問をいただきました。実際にそれぞれの活動する地域で病児・病後児保育が始まっているところも多く、具体的なご質問もありました。県議員の立場からのご質問もいただきました。

 私の印象ですが、とても活発なご議論だったようです。俗な言い方をすると「食いつきが良かった」・・失礼な言葉で、すみません。でも、本当にそう思いました。

 これまでいろんなところで病児保育のお話をしていますが、たとえば小児科医の集まりでもこれほど熱心な意見交換はしたことがありません。小児科全体として取り組んでもよいような事業ですが、残念ながら一部の小児科医だけが実践し、それで終わっているという状態です。

 今回は「厚生環境委員会」の行政視察です。当院の他には障害者支援施設、がん治療の病院、柏崎刈羽原発がその対象です。居並ぶ「大物」の中にまじって、個人の医院が混じっている様はこっけいかもしれませんね。

 そこで・・当院がチャレンジしているいくつかの課題についてもプレゼンしてみました。薪ボイラーや太陽熱といった自然熱エネルギーを暖房や給湯に利用するシステムには、とても関心が高かったようです。原発、節電、化石燃料の不使用、CO2排出ゼロなど、この委員会の2枚看板の一つである「環境」に関係があるからでしょう。

 実際の建物や設備も見ていただきました。隔離棟の当日の暖房は電気を使わず、この薪ボイラーだけでまかなったのは、私のこだわりですが、それにも喜んでいただけたようです。

 「ノンストップ診療所」をめざしてこれまでの「災害に強い診療所」を造ってきました。自家発電装置をいくつも装備し、照明だけではなく、電子カルテ、冷暖房などもそのまま使えるようにしていることも、実際に見ていただきました。

 断水になっても使える水洗トイレは、融雪用の井戸を多数もっている雪国では、もっと普及させらことができるはずです。その提案もいたしました。

 2009年(平成21年)に発生した「豚由来の新型インフルエンザ」に備えるために、わずか数か月で隔離棟を建設したことも。そこを実際に会議場として使ったわけですから、小さな診療所でもこういった施設の重要性は感じていただけたのではないかと思います。(国の方針にそって完璧な形で対応したのに、1円の支援や補助が国からも、地方からもなかったことも、思わず口にしてしまいましたが)

 保育士を待合室に常時配置し、「待合室保育」を実践していること。臨床心理士を雇い入れ、「心の相談室」を常設していること。などなど。

 最後は、当院の苦労話を聞いてもらいたかっただけかもしれませんが、でもこんな医者と診療所があるんだというところを知っていただくのも、これからのご活動のお役にたてるのではないかと思ってお話させていただきました。

 説明会が終わったあとは施設見学。ボイラー棟や院内の各所を見てもらいながら、本日のメインであるわたぼうし病児保育室に到着。今日は16名のお預かりですが、ちょうどお昼寝の時間。3つの隔離部屋と、中央のプレールームで体を横にしている子どもたちの様子を実際に見ていただきました。

 保育士が丁寧にかかわることで、体調のすぐれない子どもたちも安心して一日を過ごせていることを、実感していただけたのではないかと思います。

 何かとバタバタとした視察でしたが、帰り際、何人もの議員さんから、しっかりできている、思っていた以上だった、などとお褒めの言葉をいただきました。うれしいです。ありがとうございました。

 小さな診療所を視察するなんて、もしかしたら県議会としても異例のことだったかもしれません。選んでいただいたことだけでも光栄ですが、議員さん方と直接お話ができ、ご感想やご意見もちょうだいすることができたことで、これからの仕事に大きなエネルギーをいただきました。

 これからも地域の子どもたちのために頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

投稿者 tsukada : 2013年04月11日 18:00