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2011年11月11日

ズルい人

 野田総理大臣が今日、ようやくTPP環太平洋パートナー協定の参加を記者会見で表明しました。ことの賛否はともかくとして、いくつもの意味で遅きに失した態度表明でした。

 というのは、アメリカ大統領とは明日会うことになっているようで、その前日に国民に対して、初めて態度をハッキリさせました。何だかバカにされているような気持ちがします。

 国会でも議論はなし。与党の中では意見集約のための作業はありましたが、結論はすでに決まっていて、反対派や慎重派のガス抜きのために時間を使っていたのではないのかな。

 党の意見には賛成以外のものが多く、それを踏まえて決定してほしいとあったようです。反対だとしているわけではないので、結果として政府が参加表明を行っても、「反対意見も十分考慮したうえで決断した」と言えばそれで終わり。実際に野田総理は会見でそのように言っていました。

 反対する議員も、自分は最後まで抵抗したのだというアリバイ作りができて良かったですね。最初から見え見えでしたが。

 それでも記者会見を一日遅らせたことは、反対意見が多かったことで、政府が慎重になったという意見もありましたが、どうなんでしょう。いったん走り出せば、一日の違いにどれだけ意味があるというのでしょう。

 それより、その一日遅れが国会での論議の機会をなくしたという点は、政府にとっては想定外のメリットだったかもしれません。

 民主党がまとめた提言も無視し、国民へも旅立つ前夜まで結論を隠し続け、国会の場で説明することもせずに、アメリカ大統領に手土産をもって会いに行く・・日本の総理大臣の立場がよく分かってきました。

 とにかくアメリカが参加しろと言うのだから、断るわけにはいかない・・そんな意気地なしの政治をしているかと思うと、情けなくなります。

 野田さんは民主党の代表選挙の時には、自分はドジョウだと言っていました。スタンドプレイはできないが、泥臭く、地道に政治を行っていくだけだという意味だと思っていました。とんだ誤解でした。

 結論は用意してあるのに、それを先に言ってしまうとつぶされてしまうから、先にみんなで戦わせて、頃合いを見計らって登場してくる。後出しじゃんけんのように。

 野田さんはズルい人なんですね。やっぱり政治家でした。期待をしたことが虚しく思えてきました。

投稿者 tsukada : 2011年11月11日 17:11