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2011年08月15日

ニセ医者騒動

 ニセ医者騒動が起きています。東日本大震災の被災地に来ていたボランティアが「医師」と名乗っていたと言うのです。

 朝日新聞が立派な医者だと紹介したあと、それを否定する訂正記事がでて、一挙に話題?になりました。

 朝日の報道では、他国の医師免許は持っているけれど、日本の免許は持っていないというニュアンスでした。しかし、他のメディアの取材では、そもそも医療の勉強をしたことすらなかったようです。

 産経新聞のインタビューに次のように答えています。

 --医師の資格は持っているのか

 「無資格でやった。違法なのは分かっていたし、裁きは受けるつもり」

 --なぜ治療をしたのか

 「最初は行方不明者の捜索をしていた。ただ支援活動をするうちに、被災地に医師が少ないことに気づき、必要だと思ってやった。後悔はしていない。中学1年のころから医者を目指して毎日5時間勉強していたので、免許を取ろうと思えば取れると思う」

 つまり、医者を目指したけれどそれも途中までで、医師免許を取得していないことを白状しています。どこまで進んだのは分かりませんが、ニュアンスからは医学部にも行っていないような気がします。「毎日5時間勉強」って、そんなに誇れることでもないですし。

 確か昨年もニセ医者が問題になりました。東北の医療過疎の公立病院に就職しようとした関西の「医者」がニセ者だったというものです。その時にも、ネット上で簡単に医師免許があるかどうかを簡単に分かる方法が知られていませんでした。

 厚労省の「医師等資格確認検索」というサイトです。名前を入れると該当する人がいれば医師として登録された年といっしょに教えてくれます。時間はわずかに数秒。それで医師かどうかが分かります。(同姓同名もいるので、完全な検索ではありませんが、本物の医者の名前を使っていなければすぐ分かるでしょう。ちなみに私と同姓同名の医者がもう一人いました・・どんな人だろう?)

 現地でも医者かどうかの証明を求めたそうですが、自分で勝手に作った資格証明書のようなもののコピーを渡していたそうです。それがデタラメなものだというのは、医者ならだいたい分かるでしょう。近くにいる「本物の医者」に聞けば、あやしいという話がでたはず。医師会や保健所でも分かるでしょう。厚労省の担当課に電話すれば、そんな証明書は発行していないことをすぐ教えてくれるはず。あるいはネット上で「資格検索」をすれば、瞬時に結果が判明します。

 朝日新聞が記事にする時、この検索をした人はきっといなかったのでしょう。全てのことを疑うジャーナリストであれば、美談と思われる中にも怪しいものがあることを知っているはずです。いや、単純な「身元確認」をサボっていただけなのかも。取材した記者だけではなく、編集部の人たちも、ネットで簡単検索できるのに。

 ボランティアは基本的には善意の方々だと思います。ほとんどそうでしょう。でも残念ながら悪意を持っている人が中にはいるかもしれない。やっぱりある程度の身元証明などは求めておくべきだと思います。

 とくに医療行為のように、資格がなければできないし、もし間違ったことをしてしまうと命や健康など、重大な問題が生じる可能性がある職種については、きちんと資格証明を求めるべきです。震災直後の大混乱の時には無理かもしれませんが、すこし落ち着いてからそうすべきでした。

 受け入れていた団体の方は、新聞社のインタビューで、これからも医者を疑うようなことはしにくいし、しないというようなことを言っていました。でもそれは違いますよね。そんなことを遠慮する必要はありません。多少それで気分を害する人がいたとしたら、それはボランティアとしては適さない人なのでは。

 ニセ医者にかかわって、被災者の医療を行っているとしたら、その団体や市町村も責任を持たなくてはいけないでしょう。患者さんが自分で医者の資格証明を求めることはしません。市役所とか、支援団体の関係がある医者らしい人がいれば、それを疑うことはしないものです。

 ニセ医者は逃げていきました。誤った医療行為をして、悪い結果がおきていなければいいのですが。

投稿者 tsukada : 2011年08月15日 09:58