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2010年11月16日

非公開の本当の理由

 「事実は小説よりも奇なり」・・そんな言葉を思い出させる事件でした。尖閣諸島沖の衝突映像流出にからんでの一連の動きです。「犯人捜し」が加熱する中で、海上保安官が名乗り出て、逮捕されるのかと思ったらそうもならず、任意聴取のまま。

 流出された映像がどれだけ「秘密性」があるのかが、検察の中でも問題視されている結果のようです。逆にいえば、公開されてしかるべきものだということなのかもしれません。

 そもそも政府がこの映像を非公開としたことが問題を複雑にしています。当初から公開されていれば、この海上保安官のような「犯罪者」は発生しませんでした。

 それにしてもなぜ政府が非公開にこだわったのか、疑問でした。公開していれば中国船の違法性は明らかであり、海上保安庁のとった船長の逮捕という行動を強く肯定することは明らかです。世界に対しても自らの立場をアピールすることができます。

 それなのに非公開にする・・そんなに中国のことが怖いの? 自分のしていることに自信がないの? いろんな疑問があったのですが、その理由がある週刊誌の記事を読んで分かりました。

 今週発売の「週刊AERA」(朝日新聞社)によれば、日本と中国の間には「密約」があったというのです。それはこういった出来事があったときに政治問題化するのを避けるというもの。トラブルがあっても交戦したり、逮捕したりはせず、事態を沈静化させるという内容なのだそうです。

 確かにそんな動きがありました。小泉純一郎が首相をしている当時、尖閣諸島に中国の活動家が上陸するという「事件」がありました。このときには彼らの身柄を確保し、そのまま中国に強制送還しています。今回のように逮捕したり、日本国内の法律で罰しようとはしていません。

 そんな「密約」があるにもかかわらず、今回は船長をはじめ、船員全員を逮捕しています。おそらく日本船にぶつけたあとに逃げようとしている中国船を追いかけ、そして捕まえたのでしょう。そのことに中国政府が強い不快感をもっているのかもしれません。

 そして日本政府も「密約」を破ってしまったという負い目が、映像の非公開という判断に至った理由なのではないか。あの映像の後半(今回の流出でもまだ公開されていない部分)に、中国人の逮捕というショッキングな内容が映っているはずですから。

 こうなったら映像の全てを公開するしか、この「事件」の全容を明らかにする手段はありません。そして、事件の本質をきちんと議論していく必要があります。政府の意図したことなのか、マスコミもこぞって「犯人捜し」に終始し、国民の目先をそらすことだけに熱心になっているような気がします。

 誰か、映像の後半を公開してくれる人はいませんか? (これは犯罪の教唆になるのかな?)

投稿者 tsukada : 2010年11月16日 23:59