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2010年08月03日

ヒブワクチン入荷

 乳幼児の細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチン・・一昨年秋に発売以来、品薄状態が続いていました。先週よりようやく入荷数が増加してきました。

 このワクチンはフランスで作られています。欧米では10年以上前から使われていますし、定期接種としてほぼ全ての子どもたちが受けています。

 そんなワクチンですから、日本用に増産することはそう難しいことではないはずでした。ところがうまく出荷(日本にとっては輸入)できませんでした。それは製造ラインが「日本仕様」になっていなかったからだというのです。

 ワクチンは大きなタル(バルク)で作り、それを小瓶(バイアル)に詰めて製品にします。その過程で、日本では目視による検査で問題がないことを求めているのだそうです。オートメーション化した生産ラインの中に、日本に輸出するワクチンだけは人間の目が必要。混濁や異物などの異常がないことを確認していなければいけないのだそうです。

 そのために、ワクチンの製造ラインを日本向けに造りかえて、新規に製造をしたために、大幅な遅れがでたようです。

 さらに・・日本では任意接種(有料)なので、さほど希望者は多くないだろうという予想がメーカーにあったようですが、甘い見通しだったようです。

 子どもたちの命を守る大切なワクチン・・そうであればぜひ受けさせたいと思うのが、多くの親御さんのお気持ちでしょう。メーカーもそのように宣伝しているわけですから、良い意味での見込み違いになりました。

 そんなこんなでご希望の方には予約をいただき、メーカーからの連絡待ちの状態でした。長い方は半年以上お待ちいただいたのではないかと思います。

 何しろメーカーからは、診療所には月に3人分、病院には5人分という、信じられない割り当てがあったのですから、ご希望に全くそうことができませんでした。

 ワクチンの生産量が次第に多くなり、メーカーからは今年中には希望者にはすぐに接種できるくらいになるという見通しが示されました。それまでの間に、予約待ちになっている方への接種も進むことになります。

 このワクチンは年齢が低いとトータル4回の接種が必要ですが、年齢が高くなると次第に接種回数が少なくなり、最後は1回だけになります。

 ようやく接種できるようになった時に、注射の回数が少なくてすむようになった方がほとんどです。料金の総額も数分の一になっているわけで、その点では良かったことと言えなくはありません。(この間に病気になるリスクがあったわけですので、あくまでも結果論です)

 ワクチンの納品が急に多くなり、待機リストの上位の方にご連絡をし、接種を受けていただいているところです。ずっと待っていたワクチンということで、すぐにでも接種してほしいというご希望が多く、通常のワクチン外来だけではなく、診療時間内で工夫しながら接種の時間を作っています。

 多くの方は、このワクチンが品薄で、接種まで時間がかかっていることにご理解をいただいており、感謝しています。接種の際に、私からも事情をお話しし、ずいぶんとお待たせさせてしまったことをお詫びしています。

 でも・・ワクチンが足りなかったのも、親御さん方を混乱させていることも、私の個人的な責任ではありません。メーカーもしっかりしてほしいし、国も早く法律に基づく定期接種にしてほしい(公費負担になる)。そんな思いがありますが、一方で「接種する方の立場」にはいますので、やっぱり親御さんには、そして主人公の子どもたちには申し訳ないことをしているな、って思っています。

 しばらくは事情を説明しながらのワクチン外来が続くことでしょう。

投稿者 tsukada : 2010年08月03日 15:58