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2010年07月15日

民主党の大敗

 先日の参議院議員選挙では政権党である民主党が敗北し、昨年の衆議院議員選挙で政権の座を追われた自民党が勝利しました。わずか1年で国民の「民意」は180度ひっくりかえった、ということなのでしょうか。

 今回の結果については民主党のオウンゴールだとも言われています。直前に総理大臣になった菅直人氏が就任早々に「消費税増税」が国民に受け入れらなかったというのが直接のきっかけでしょう。「議論しましょう」という提案ではありましたが、同時に「自民党の10%は一つの案」と言ってしまったから収拾が付かない状態になりました。

 一度具体的な数字を総理大臣が言えば、それが一人歩きしていくことは目に見えています。民主党内で議論し決めたことではないことも国民には分かっています。それ以上に、しまった!とばかりに低所得者に対しては税の還付をするから、などとあとで言いだし、その内容も日々違ったものに。

 首相が自分の言い出したことにあわてて、右往左往している様子は、民主党に対する忌避感を容易に作り出しました。1年前には絶大な期待感が寄せられていたのに。

 そもそも民主党が行った1年弱の政権運営に対して国民が不安に思っていることを感じ取っていなかったのだろうな、とも思います。沖縄の米軍基地移転問題をめぐっては、自民党ができなかったこと(県外移転、あるいは国外移転)をやろうとして、自民党が先延ばししてきたこと(名護市辺野古沿岸への移転)が決まってしました(工法も、当時の鳩山首相がいやがっていた埋め立て方式になるのだそうです)。ある意味で自民党以下の政策をしてしまいました。

 財政のムダを徹底的に洗い出し、それによって数兆円の予算を作り出すという公約はどうしたのでしょう。見直しを進めているのは確かですが、目標額には遠く及ばないことが分かってきました。どうも民主党には「虚言癖」があるのではないか、そんな感想をもった国民も少なくないでしょう。

 子ども手当の創設についてもいろんな意見があります。巨額の予算を使うわけですが、ただお金を直接渡すだけではなく(それが大切だということも分かりますが)、保育園を作る、学校を充実させる、子どもの医療や福祉を整備するなど、具体的な行政サービスを充実させることもちゃんとやってほしい。「現物支給」こそ、政治や行政にしかできないこと。それなくして、ただ「現金支給」という安易な方法だけで少子化対策、あるいは子育て支援をしている・・そんなふうにも見えています。

 そもそも自民党が行った現金支給(定額給付)を「金のバラマキだ」と批判していたのは誰だったのか。対象者が子どもをもつ家庭だからバラマキではない、というは論理的だとはいえません。

 高速道路無料化の政策についても、その趣旨が良く分かりません。税収が少なく、苦労している今、国民の全てが利用しているわけではない高速道路料金だけをタダにすることにどれくらい意味があるのか。そのためにまた大量の税金が投入されることに不安を覚えています。

 高速道路を格安で、あるいは無料で利用できるとなれば、移動手段を自家用車にする人たちが増えます。しかし、環境への悪影響(言うまでもなくCO2排出は大幅に増加)、ガソリン消費の増大(エコに逆行)、鉄道や船などの公共交通の利用減など、さまざまな問題が新たに生じてきます。それらを多面的に考え、日本の政策はこうするんだという議論はなされていません。

 大所高所にたった政策立案をするのが、本来の「政治指導」でしょう。でも実際にやっていることは、省庁に入り込んで、役人の仕事にちょっかいを出しているだけ? 

 そんな民主党に、政権発足からわずか1年足らずで国民から愛想をつかされた格好になりました。当面はまだ民主党が政権を担っていきますが、よっぽどちゃんとしたことをしないと、次の衆議院選挙は厳しいですよ。

 今回自民党が勝利したわけですが、それは民主党に対するマイナス評価が影響したから。敵失による「棚ぼた」効果によるのですから、喜んでばかりはいられないでしょう。野党として民主党を批判するのは当然ですが、それだけ言うのなら長期に政権をもっている間に、どうして自分でやらなかったの?って思う発言がたくさんありました。

 さてさて、これからの日本はどうなるのか心配になってきました。確かなことは、政治家を簡単に信用してはいけない、ってことかな。言っているその内容をちゃんと聞き分けなくてはいけないでしょうし、やっている内容をよく見ていかなくっちゃ。聞こえのよいことを言っているだけの政治家って、多いですね。

 それにしても・・国民に人気のあった(←すでに過去形)菅直人氏が、実は政治オンチなんだと分かってしまいました。ちゃんと信頼を寄せられる政治家はいないのでしょうか。

投稿者 tsukada : 2010年07月15日 23:59