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2009年12月03日

集団接種

 新型インフルエンザ予防接種がなかなかすすまない中、当地(新潟県上越市)では幼児(1〜6歳)への集団接種が計画されています。市内のいくつかの場所で、一斉に行おうというものです。

 今夜、それについての会議があり、出席しました。すでに計画は具体的になっていて、小児科医の協力を仰ぎたいというものでした。

 市と医師会が協力しておこなう体制が作られていますので、計画通り実行されることでしょう。近々市から保護者あてに案内がありますので、該当の方はどうぞご利用下さい。

 会議では別のことが問題になっていました。医療機関でのワクチン不足です。接種しようにもワクチンがなかったり、供給の見通しが分からないために予約すらとれない状況。これは当地の小児科医の共通した悩み・・いや怒りになっています。

 会議の趣旨とは直接関連がないのは分かっているのですが、やはりワクチン不足を問題にせざるをえません。保健所の担当者もおられたので、私もふくめて、やはり「現場の意見」をしっかり言わせていただきました。

 疑問もあります。医療機関に配分するワクチンが少ないというのに、どうして集団接種用に大人数分のワクチンが確保できるのか。それは、今後新潟県への割り当てが増えると見込んで、その増加分をあてるということなのだそうです。

 集団接種にワクチンをまわすことで個別接種分が少なくなるのではないか・・そんなふうにも思えるのですが、担当者は否定されました。多少安心はしましたが、現在でも足りない配分量を増やすことなく、従来通りでいくということですので、満足できることではありません。

 ワクチンの配分についても重大な問題があると指摘しました。国も県も、子どもたちへの接種を最優先させ、その時期も前倒ししています。それなのに、過去の配分先をみると、小児科への配分を増やしてはいません。

 当地では1回に8,000人分のワクチンが県から割り当てられていますが、小児科へは1,000人分のまま。子どもへの接種を小児科以外でも行ってはいるでしょうが、それでも残り7,000人分を他の科に分配しているというのは、とうてい納得できるものではありません。

 今後の配分予定は明らかにされていませんが、このまま同じ配分方法が続けばワクチンの偏在がさらに深刻になることでしょう。子どもたちに接種しようとしている小児科では不足し、一方で子どもたちへの接種をさほどしていない他の科でだぶつく。もしかして、他の科で子どもたち以外への接種が始まるかもしれません。

 会議の大半は、じつはワクチン不足をめぐっての意見交換でした。入り口でもたもたしているうちに時間をついやしてしまいました。

 とはいえ、現実には接種を受けられないでいる子どもたちが大勢います。市がのりだして、集団でいっきょに接種を進めようとしていることは大いに評価すべきだと思っています。「子どもを新型インフルエンザから守りたい」という思いは共通なのですから。

投稿者 tsukada : 2009年12月03日 23:59