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2009年07月17日

新型インフルエンザ用ワクチン(3):政治

 新型インフルエンザ・ワクチンをどのように導入するかは、医学的にとても高度な判断が必要です。しかし実際はどうも政治的に判断されつつあるようで、心配しています。

 先日(10日)桝添厚生労働大臣が、新型インフルエンザの接種対象を5,300万人とすると発表しました。財源や接種の体制を作るのは行政の仕事ですから、それくらいの規模になることを想定して仕事をすることは悪いことではありません。でも、先に接種する方針が決まり、接種対象が決まるものではないはずです。

 さらに、国内で製造できるワクチンの量が当初の見通しより少なくなり(来春までに3,000万人ほど)、不足分の1,500万〜2,000万人分は海外から輸入する計画だ、というのです。これには驚きました。

 世界中で、ワクチン製造に余裕があり、輸出もできるという国があるということがまず信じられません。仮に余裕があっても、そう簡単には輸出しないでしょう。

 自国民を新型インフルエンザから守るというのは、危機管理対策の基本。日本でそれができないというのは、それは日本政府の問題です(日本では通常のインフルエンザ・ワクチンの製造量が激減した経過があります)。

 それでも日本が輸入しようとしたら・・お金で〝買い付けた〟と世界中から非難されることでしょう。もしかかったときの抗インフルエンザ薬(タミフルなど)が備蓄され、必要であればすぐに受診ができるでしょう(パニックにはなるかもしれませんが)。薬もなく、医療事情の悪い発展途上国こそ、ワクチン接種が必要だとも考えられます。その資金を日本が援助するというのであれば、日本への評価は高まるでしょうが・・。

 桝添さん、あなたは政治家であり、医療の専門家ではありません。政策の立案にあたっては、もっと思慮深く、専門家の意見も十分に聞き入れてください。

 一説では総理大臣を目指しているのだとか。それだけの器があるのかどうか、心配です。・・もっとも、もし自由民主党の総裁になれたとしても、「野党」の党首で終わることになりそうですが。

投稿者 tsukada : 2009年07月17日 20:08