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2009年06月26日

冷却ジェルシートの問題

 昨日書いた「院長ブログ」について、一部訂正や補足があります。

 お子さんが発熱したときに使うことがある冷却用のシートを「冷えピタ」と書きましたが、これは商品名であり、一般的には「冷却ジェルシート」または「ジェル状冷却シート」と呼ぶのだそうです。ちなみに「冷えピタ」はライオンから。日本初の商品は、1994年10月に小林製薬から発売された「熱さまシート」だそうです。のちに「冷えピタ」、久光製薬の「デコデコクール」などが発売されました。

 この冷却ジェルシートは効果に疑問があると書きました。私は個人的にそう思っていますが、公正取引委員会などの公的機関から効果に対して何らかの指摘がされたという事実はないようです。この点は私の勘違いでした。現在も各メーカーから発売されています。

 発熱している体温を下げるという効果はさだかではありませんが、実際に使ってみてお子さんが気持ちよくしているのであれば、それも一つの効果です。お使いになることはかまわないと思います。

 ただし、冷却ジェルシートによって窒息事故が発生しています。2004年4月、北海道にて、生後4か月のお子さんがおでこにこのシートを貼った状態が寝ていました。お母さんが目を離している間にシートがはがれ、口と鼻をおおってしまい、窒息状態になって発見されました。救急処置がとられ、一命は取り留めたのですが、低酸素性虚血性脳症が認めら、将来にわたり全介助が必要なほどの重度な障害が残る可能性が極めて高いとされました。

 この事故を受けて、国民生活センターは同年7月に「熱さまし用ジェル状冷却シートの使用に注意−生後4ヶ月の男児が重篤な窒息事故−」という発表を行っています。メーカーに対しては、窒息事故に危険性があるという表示をすること、はがれないように工夫すること、シートの大きさが子どもの口と鼻をおおわないようにする、などの要望も出しています。(実行されてかどうかは確認できていません)

 ということで、やっぱり問題ありの商品ではないか、と思う次第です。

投稿者 tsukada : 2009年06月26日 23:21