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2009年06月25日

熱中症予防に“冷えピタ”?

 暑い日が続いています。気温が高いうえに湿度もずいぶんと高いので、蒸し暑く感じます。

 過ごしにくいだけではなく、体調を崩したり、熱中症になったりもしやすい環境です。どうぞ十分にお気を付け下さい。

 熱中症は屋外や自動車内だけでおきるとは限りません。家の中にいてもおきます。室内でも、暑い中で十分に水分をとったりせずにいると、発症することもあります。

 仕事や運動をしているときだけでもありません。体を動かしていないときでもおきることがあります。

 風邪などで発熱したときにも、熱中症と同じような危険があります。体温が上昇中は寒気(さむけ)がありますので、温かくするのが普通ですね。

 いったん体温が上昇しきると暑いと感じるようになります。このときには手足を出して、涼しいと感じるようにします。

 ところが逆のことをしている方をときどき見かけます。そのまま厚着をさせていたり、手足をしっかりとおおったままでいたり。

 手足などは自動車でいえばラジエーターの働きをします。体の中に余分な熱があり、それを「放散」する必要があるのですが、手足をおおってしまうと、熱が逃げていきません。その結果、熱が体内にこもった状態・・つまり熱中症になってしまう可能性があるのです。

 おでこに冷却剤を貼っている子もよく見かけます。小児科医でこれを推奨している人は、おそらくいないでしょう。効果がないことを、たしか公正取引委員会も指摘していますが、まだ売られているし、使う方がいるのは、その効果を信じている人たちがいるのでしょうね。

 外来で質問を受けることがあります。本当に効果はないのですか、と。そんな時にはこんなふうにお話をしています。

 最近マラソンの選手がお腹や背中を露出させて走っている姿をよく見かけますが、あれは広い面積の皮膚を露出させることで、クーリングするため。もし“おでこ冷えピタ”がそんなに効果があるのなら、マラソン選手もみんな使うでしょう。でもそんな姿は想像できませんね。・・そんなたとえ話をすると、よく理解してもらえます。

 熱中症の予防に“冷えピタ”を・・などと宣伝するメーカーはいません。それなのに、子どもの発熱に効果のないものを発売しつづけるのは問題があるのでは。それを信じて、かえってお子さんの体調が悪くなってしまわないか、心配です。

 流行や宣伝に流されない確かな知識を。そして、きちんと自分で考える習慣づけを。・・今の私たちに欠けていることだと思っています。

投稿者 tsukada : 2009年06月25日 23:59