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2009年04月24日

オウンゴール

 2週間ほど前のニュースです。中学生のフットサルの試合で、自分たちのゴールにボールを蹴りこんで負けたというものがありました。

 トーナメント形式の試合で、そのまま勝ち進んでいくと強豪チームと当たることになるので、わざと敗北を選んだ(?)というのです。そんな“悪知恵”をもちだし、子どもたちにやらせた監督は、サッカー協会から処分されました。

 味方ゴールにボールを入れて得点を相手に与えてしまうことをオウンゴールと呼びます。このこと事態はルールに違反しているわけではないとか。でも“間違えて”オウンゴールしてしまうのと、“わざと”オウンゴールをするのは意味は違うでしょう。

 案の定、このニュースは全国を駆けめぐることになりました。多くのマスコミが注目し、報道したからです。

 実はトラブルをおこした中学は、私の医院の近くにあります。県立の中高一貫校です。そして、その“首謀者”は教頭先生でした。

 子どもたちに正々堂々とプレーすることを教えるべき教師が、卑怯なことを教えたということで、この教頭は教育委員会から処分されました。あれだけ大きな騒ぎになったのですから、教育委員会としても何かしらの対応をしなくてはいけなかったのでしょう。

 けっして良い行いをしたわけではありません。むしろ悪い行いをしたわけですから、処分も当然といえばそうです。でも、私にはちょっと酷だという印象もあります。

 間違った指導をしたのは確かですが、法律に違反したわけではありません。フットサルのルールに違反したわけでもありません。それなのに全国から、とくにマスコミから批判され、非難されました。一部のマスコミは実名で報道していました。それはやりすぎではないのかとも思います。

 昔の話ですが、プロ野球の入団をめぐっての江川選手のトラブルを思い出します。ドラフト会議で指名された球団に入ることを拒んだ場合にはほかへ入団することができません。それなのに江川選手は、翌年自分の希望する巨人軍に、ドラフトを通さずに入団しました。

 次のドラフト会議の前に、1日だけ前のドラフトの効力が切れると当時のルールでは決めていました。次のドラフトのために、選手の入団をフリーズするのが目的なのだそうです。

 江川選手はこの“空白の一日”に、巨人軍に入団しました。日本中がビックリ。そんな解釈がほんとうにできるのか、疑問でした。

 ほかの球団からは批判がありました。ルールの趣旨を全く正反対に解釈し、自分勝手に利用したのですから当然です。実際にみんながそのようにしたら、ドラフトの意味がなくなります。

 江川選手だけでできることではありません。受け入れた読売巨人軍といっしょに、むしろ主導する形で行われたのだと思います。

 ルールの教条的な解釈からは「あり」なのかしれません。でも、意図することを曲げているという意味では“ルール違反”といわざるえません。そして、それを天下のマスコミがオーナーをしている球団が行ったということにも、それはないよ、という違和感を覚えたものでした。

 そういえば、今回のフットサルでおきた問題を実名報道したマスコミの一つは読売新聞でした。時間はずいぶん経っていますが、「他人には厳しく、自分には甘い」のではないですか。

 件(くだん)の教頭を養護するつもりはありません。きちんと反省すべきことは反省してください。その上で教育者としてあらたに再スタートしてください。

 子どもたちへの悪影響を心配する声があります。これだけ大きな問題になってしまったことが、それに輪をかけ、追い打ちをかけてしまったかもしれません。そんな意味でも、学校名が特定されるような報道をしていた一部のマスコミの姿勢は、やはり問題なのではないか、と思います。

 子どもたちは大人の様子をしっかり見ています。ずるいことを教えられても、それだけで直ちにずるい考えをするような人間になるわけではありません。大人を反面教師として学ぶこともあるものです。

 大人はずるいことをするものだ・・そんなふうに子どもたちが学んだとしたら、それもまた“教育効果”だったのかもしれません。

投稿者 tsukada : 2009年04月24日 23:59