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2009年03月24日

もう一人のイチロー

 片やオトコを下げてしまったイチローは、政治家の小沢一郎氏。民主党の党首です。政治献金をめぐって公設秘書が逮捕され、今日、政治資金規正法違反で起訴されました。

 政治団体の会計処理が適切だったのか違法だったのか、もし違法だとしたらその責任は秘書だけなのか、小沢氏にもあるのか・・検察と小沢氏側とのせめぎ合いは、いずれ法定の場で行われることになります。

 コトの真相は良く分かりません。小沢氏の秘書が逮捕されるのなら、もっと他に問題になる政治家はたくさんいるようにも思います。民主党による政権奪取もありうるという時に、このタイミングで検察が動いたことに対しても、批判する意見があります。

 法的な決着はいずれ司法の場ででるでしょう。もしかしたらクロになるかもしれませんし、シロだとされるかもしれません。秘書が有罪になったら辞職する・・ということでも、形の上では適切かもしれません。でも、今この時に小沢氏はどう動けばよかったのか。

 今夜の記者会見では、このまま民主党の党首を続投すると表明しました。もし次の総選挙で民主党が第1党になれば、小沢総理大臣が誕生するかもしれません。小沢氏は政権交代のために、そして総理大臣になるために、居座っていこうとしていますが、それでいいのか、はなはだ疑問です。

 どんなに言い逃れをしようと、小沢氏がゼネコンから少なくない政治資金を受け取っていたのは明らかです。検察が問題にしているのはその方法かもしれませんが、私たち国民が(少なくとも私は)政治資金の内容と性格が問題なのだと思っています。

 資本主義の世の中で、企業は業績をあげ、利潤を生むことが主な存在意義です。政治家に資金を提供することで、企業活動に直接にせよ関節にせよ、有利になることを期待しています。ゼネコンであれば、公共工事などをより多く受注すること、あるいは利幅を大きくすることが目的です。

 そうではなく、政治家なら誰でも良い、利潤追求のために行ったものではない、とするのであれば、その企業は株主の利益にそむいたことになりかねません。経営者は資本家に損害を与えたことになります。

 一般常識ではそんなことはありません。甘い汁を吸おうとして政治家にカネを与えます。だから、特定の企業から政治資金を受け取ることは、それ自体が政治をつかさどる者としてのモラルに反する、ということなのです。

 小沢氏はもともとは自民党の中枢部にいた政治家です。田中角栄氏にかわいがられ、金脈政治にどっぷりつかっていました。自民党の幹事長として、ウラの会計処理をしていたという話もありません。大企業から大量のカネを集める辣腕ぶりは有名でした。

 そんな小沢氏を党首にしている民主党の皆さんは、恥ずかしいことだとは思っていないのでしょうか。そして今回、公設秘書がカネの問題で起訴されたことをどうかんがえているのでしょうか。

 法律的なことはよく分かりません。例えば「パーティー券」のように、黒いカネをきれいに見せかけられるような仕組みがすでに作ってあるわけですから、杓子定規な法律解釈だけではものごとを正しく見極めることはできません。

 なぜって、何とでもできるような法律を、自分たちが作れるからです。自分の首をしめるような法律は作らないでしょう。

 小沢氏は続投を決めました。民主党の執行部もそれを良しとしました。残念ですね。自民党に代わって、悪い政治、ひどい政治をガラッと変えてくれると期待していたのに、民主党もやっている人間は自民党とそれほど変わりがないってことが分かっちゃいました。

 新しい政治体制を作ろうとするのなら、新しくて、きれいな政治家でなければ無理でしょう。そうすると・・仮に民主党が政権をとっても、大きな変化はないってことになります。日本は、ちっともチェンジされそうにありません・・。

投稿者 tsukada : 2009年03月24日 23:59