« 滑らない話 | メイン | モザイク? »

2009年01月19日

それは私です

 インフルエンザの流行がいちだんと本格化しています。園や学校での流行が拡がり、学級閉鎖もすでにでているようです。

 今日はある幼稚園の園児が多数、インフルエンザにかかって受診しました。おそらくこの園では半数くらいがかかったのではないかと思います。

 インフルエンザが強い伝染力、そして強い“破壊力”をもっていることを、直接感じています。ふだんは元気いっぱいな子どもたちでも、とても具合悪そうに、ぐったりとします。顔つきを見るでけで、ふつうの風邪とは違うのだ、と分かるほどです。

 こんなインフルエンザですから、お年寄りがかかると時に命にかかわる事態になってしまいます。感染症に対する抵抗力も弱くなっていますし、何かに基礎疾患(持病)をもっていることも多いからです。

 インフルエンザの症状では高熱になるのが多いわけですが、高齢者の場合には熱があまり出ないこともあります。「発熱」は感染症にかかった時の体の反応ですが、インフルエンザ・ウイルスに打ち勝とうとする力も、あまりないようなのです。

 全身状態は急激に悪化することがあります。食欲がなく、水分すらあまりとれません。脱水は進行し、体力が急激に落ちていきます。顔色不良、無気力、無反応・・。そしてそのまま命を落としてしまうことがあるのです。

 若い人たちがインフルエンザにかかった時とは、体の中でおきていることがずいぶんと違います。その結果、経過も結果も、また違ったものになってしまいます。

 インフルエンザが、小さくなっていたお年寄りの「灯火(ともしび)」を消してしまう、最後の一吹きだとよく言われていますが、それはそんな意味合いがあります。

 先日から東京で、ある老人保健施設でインフルエンザの集団感染があったそうです。職員も含めて100名以上の方がインフルエンザにかかり、3名のお年寄りの方が亡くなりました。多くの方はインフルエンザ予防接種を受けていたのだそうですが、それでもインフルエンザは流行しました。

 なにか特別な要因があったのかもしれません。ないのかもしれません。いずれにせよ、従来のインフルエンザでもこれだけのトラブルをおこしてしまうのだということをよく知っておく必要があります。

 もしより強毒な「新型インフルエンザ」が発生し、流行を始めたら、どうなることか、想像をぜっするものがあります。なぜなら、新型インフルエンザは体の中でおきる炎症反応が強いために、成人により強い症状をもたらすおそれがあるからです。もちろん、高齢者は従来のインフルエンザ以上に、悲惨な状況になるでしょう。

 インフルエンザ・ウイルス、恐るべし。侮ることはできません。まずは今直面している従来のインフルエンザ流行が、早く終息してくれることを願っています。

 ところで・・今日のテレビ放送に、私が少し出てきたことに気づいた人は誰もいないでしょうね。古舘伊知郎さんがキャスターをしている「報道ステーション」(テレビ朝日系列)の中です。インフルエンザの施設内流行について解説しているときに、バックにある医療機関でのワクチン接種や診療の様子が流されていました。時間にして1分ほどだったでしょうか。

 映像のすべてがぼやかしてありました。おそらく患者さんのプライバシーに配慮しての対処なのでしょう。でも、そこに写っていた医師は、まぎれもなく私です。いつものミッキーのトレーナーを着ていました。

 看護師などのスタッフも何人か写っていました。誰であるか、私にはだいたいの見当がつきましたよ。

 懐かしい映像でした。今から5年ほど前だったでしょうか、このニュース番組のスタッフが取材にこられました。当時はインフルエンザ治療薬であるタミフルが著しく不足していて、インフルエンザ患者さんの治療にとても困っていました。現場の意見を聞きたいということで、わざわざ東京から新潟まで出張されてきました。

 その時の映像を、どうも時々使っているようです。以前にも、やはりインフルエンザが話題になったとき、タミフルの映像を使っていました。それが当院の薬局で撮影されたものであることは、下のテーブルの色で分かりました。

 プロデューサーの方からは、他の番組などで映像を使わせてほしいと依頼され、OKしてありますので、何の問題もありません。むしろ、どうせ使うならボカシを入れないでほしい、などとも思った次第です。

 ということで、あの映像に映っていた医者は私です。日本中に流されましたが、きっと誰も分からなかったでしょうから、お話ししました。医院の職員が見ていても分からなかったかもしれません。・・いや、どこのだれかなんて、最初から興味がなかったでしょう。騒いでいるのは、結局私だけ(^^;)

投稿者 tsukada : 2009年01月19日 23:59