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2008年03月14日

複雑な思い

 4月から始まる「5分ルール」については、ここ数日の「院長ブログ」で取り上げてきました。2年に一度行われる診療報酬の改定は波瀾万丈、予測不可能、摩訶不思議・・何が飛び出してくるか分かりません。

 以前にもアッと驚く改定がくりかえされてきましたが、今回の「5分ルール」は全くノーガードでした。少なくとも小児科にとっては瀕死の重傷を負わせるような改定を、よくも平然と行うことができるものです。

 保険診療を所管していて、診療報酬の点数を決めているのは厚生労働省です(形式的には中医協という場で、診療側、保険者側、中立側が合意することになっていますが、そこに諮問案を出すのは厚労省ですし、そのまま答申され、実施されるのが通例です)。厚労省は年金問題などで悪名が高くなってしまいましたが、日本の医療制度についてちゃんとした政策をもっていないという点で、私たち医療人にとってはもともと最悪ともいえる役所なのです。

 診療報酬改定の担当課長が、実は私の同級生。医学部の6年間、一緒に学んだ医者です。特別に親しいというわけではありませんが、お互い知らない仲ではありません。近隣の県の衛生部長をしていたときには、上越市のことで相談事があり、直接連絡を取っていたこともあります。

 そんな彼が、今回の改定についてマスコミのインタビューに答えています。「5分ルール」も日本の医療を良くするためだ、とか。マスコミ受けするのか、国民受けするのか、彼の話だけ聞いていると、それがもっともだと思えてくる方も多いかも。

 でも医療の現場は青息吐息。医療費抑制策と医師数削減という2つの間違った政策で、大変な状況に追い込まれています。単に医療機関の経営の問題ではなく、地域の医療が成り立つのかどうか、そして国民の命と健康を守ることができるのかどうか、といった重大な局面にまで至っています。

 そんな現場のことを知ってか知らずか、「5分ルール」を持ち出し、それが日本の医療を救うのだというようなポーズをとる・・恥ずかしいほどです。

 彼が一人でこの政策を決めているわけではないことも分かります。巨大な官僚組織の中で、たった一人の課長が政策の立案をし、決定することなど、できようがありません。財務省からの財政削減という大きな圧力があり、厚労省内部での議論があった上での決定でしょう。ある意味でスポークスマンとして、表に立たされているのかもしれません。

 それにしても、彼が中心となってまとめられた改定であることは間違いありません。政府の財政が困難な状況の中で、どうしてもこの部分を受け入れざるをえない・・医者たちよ、涙をのんでくれ・・そんなふうな言い方をしてくるのであれば、多少はしかたないと思うかも・・。

 でも、やっぱり現場を知らず、今まで以上に医療を荒廃しかねない改定を行うのは、容易に納得できるものではありません。彼に小児科医の様子を、もう少し教えておけば良かったな、と、今になって思う次第です。

投稿者 tsukada : 2008年03月14日 23:59