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2008年02月26日

キャンセル率

 今月6日の「院長ブログ」で話題にした「病児保育--利用妨げるマナー違反」(新潟日報2月5日)という記事について、もう一度取り上げようと思います。

 先日のブログでは当院のキャンセル率はそんなに高くないとお話ししました。前日予約に対して約10%、実際の利用者全体に対しては約5%。そして病児保育という事業においては、キャンセルはある程度つきものですし、場合によっては喜ぶべきことであること。そして、キャンセルが出てもそれによって他の方の利用が妨げられないような保育体制を作ることこそ、大切だということ。(詳しくは前回のブログをご覧下さい)

 改めてこの記事を読んでみたのですが、一つ重要な問題を見逃していました。キャンセル率そのものの解釈です。

 この記事が書かれたきっかけは、記事の主題になっている通り、キャンセルがとても多いという実態です。新潟市の予約キャンセル率は06年度32.4%とあります。

 これは確かに大きな数字です。予約していったお子さんの3人に1人は利用していないということ。当院の数倍に上ります。

 記事中で紹介されている新潟市内のある病児保育施設は定員が4人。そこに3分の1のキャンセルがあるとなれば、運営に混乱が生じることは容易に想像できます。何とかキャンセルが減らせないものか、と考えるのも当然でしょう。せめて、キャンセルをするのであれば早めに連絡をいれていただき、ほかのお子さんに利用してもらえるようにしてほしいとも。

 運営にあたるものとして、このキャンセル率の高さを何とかしなくてはいけないという問題意識はそうとう強いものだと思います。

 逆に、私どものわたぼうし病児保育室におけるキャンセル率は、新潟市よりもはるかに小さい・・それはなぜだろうと考えてみました。もともとキャンセルそのものを問題視していなかったので、あまり疑問にも思わなかったことです。

 保育士にも聞いてみて分かったのですが、前日予約を無理にしておく必要性があまりない、ということです。当日になって利用を申し出ても断られることがないことが、利用される家族の方々に広く伝わっています。

 夜間に留守電に録音しておいてもいいですし、当日の朝、直接電話を入れてもけっこう。場合によっては直接連れてきてもOK!(ほんとうは事前に情報はほしいのですが)

 もしも「定員」が決まっていて、それも小さな枠であれば、先を争って予約しておくようになるでしょう。記事中には、軽症で「様子見」予約をすることを問題視していますが、親御さんがそんな心理になるのは、やむを得ないのではないか、と思うのです。

 買い物をするとき、すごく人気があって(あるいは日常生活にとってとても重要なもので)品数が少ないと分かれば、我先にと確保に走ることはあるでしょう。少しずつ分け合えばみんなに行き渡るとは分かっても、でも自分の分がなくなったらどうしようと不安になるもの。

 買い物にたとえるのは失礼かもしれませんが、子どもが病気だという時、翌日の容態を的確に予想することがむずかしいわけですので、念のためという気持ちで病児保育利用の予約をすることは当然のことだと思います。

 やはり問題にすべきは、利用しにくい体制のまま運営している病児保育施設のほうでしょう。「ぜったいに断らない体制」をつくることができれば、親御さんが無理に「様子見予約」とする必要がなくなるのですから。

投稿者 tsukada : 2008年02月26日 06:05