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2008年01月04日

仕事始め

 今年の小児科外来が今日からスタートです。「仕事始め」というと、おとそ気分でウキウキ・・そんなイメージも世間一般にはあるようですが、ここは“戦場”。さっそく臨戦態勢!

 長期の休みが入ると、そのあとの外来が混み合うのは小児科では普通のこと。年末年始は日曜を入れると5連休でしたので、患者さんにとっては待ちに待った外来診療だったことでしょう。

 今日も大勢の患者さんが来られました。中には年末からずっと具合が悪かったお子さんもいて、検査や点滴など、処置も多かったようです。

 帰省中の方も少なくありませんでした。出かけた先でお子さんが病気になってしまい、親御さんもさぞ心細かったことでしょう。もう帰らなくてはいけないのに、身動きできなくなったという方もおられました。

 病気ではインフルエンザの患者さんは見かけませんでした。冬休みに入り、当地では下火になったような印象です。来週以降、学校や園が始まるとまた流行が再燃するかもしれませんが。

 一番多かったのが水ぼうそう(水痘)。今日一日でなんと35人の子が水ぼうそうでした。年末年始に発症し、休日診療所などで臨時の診療を受け、今日はもう治っている子も含まれますが、それにしてもこんなに多くの水ぼうそう患者を一度に診たことは初めてです。(わたぼうし病児保育室でも利用者5名中3名が水ぼうそう。)

 水ぼうそうはとても伝染力が強い病気。一度かかれば一生もう水ぼうそうにはかからないのですが、逆にかかったことがない子は、周囲に水ぼうそう患者がいるとかなりの高率で感染を受けてしまいます。抗ウイルス薬(水ぼうそうウイルスの増殖を抑える薬)があり、それを使用すれば早く治すことができます。でも将来の帯状疱疹の可能性などを考えると、かからないに越したことはありません。

 水ぼうそうを予防するのは簡単。あらかじめワクチンを受けておくことです。日本では任意接種になっているので、希望する方だけへの予防接種。費用は全額自己負担になることもあり、受ける方があまり多くないのが現状です。せっかく良い予防法があるのに、子どもを水ぼうそうから守ってあげられないのは残念なことです。

 アメリカでは8割ほどの子どもたちが水ぼうそうワクチンを受けていて、水ぼうそうの流行はほとんどなくなったそうです。日本も早くそうなればいいな、と願っています。個人負担も問題なので、国が法律で規定して予防接種を受けるようにしてもらえれば一番いいのですが・・。日本のシステムは硬直化していて、なかなか臨機応変に変わっていきません。何とかならないものでしょうか。

 ちなみに水ぼうそうワクチンは日本で開発され、日本で作られています。“Made in Japan”のワクチンが日本の子どもたちの元にそれほど届かず、海外の子どもたちを救っているというのは何とも皮肉な話です。

 水ぼうそう以外ではウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)が引き続き流行中のよう。脱水が心配で点滴治療をした子どもたちが何人もいました。春先まで流行が続く感染症ですので、気をつけていてください。

 今日から診療を始めた小児科外来の様子をお話ししました。忙しい小児科にふさわしい一年のスタートになったようです(^^;)

投稿者 tsukada : 2008年01月04日 22:27