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2007年11月15日

「リタリン」その後

  「リタリン」という薬がADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもたちに使えなくなりそうだという話は、以前の「院長ブログ」で書きました(11月2日)。このHP内の「ゲストブック」にも、ADHDのお子さんのお持ちの親御さんからこの件についての書き込みがあり、読ませていただきました。

 行政の動きが必ずしも見えてこないのですが、流れとしてはADHD治療薬は、これから発売される「コンサータ」だけになってしまいそうです。

 やはり、基本的にはこれまでリタリンの適応症にADHDを追加していなかったという点で、製薬会社と厚生労働省が社会的責任を全うしていなかったのだと思います。この件について、私の所属する新潟県保険医会を通じて厚生労働省に文書で要望書を提出しました。

これで厚労省が動くかどうかは分かりませんが・・。参考までに文書を掲載します。

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                           平成19年11月12日
厚生労働省医薬食品局
 総務課長殿
 審査管理課長殿
 安全対策課長殿
 監視指導・麻薬対策課長殿

                          新潟県保険医会

  小児ADHD患者に対するリタリンの使用についての要望書


 「リタリン」(一般名「塩酸メチルフェニデート」)の乱用が社会問題になったことに伴い、その適応症から「うつ」を削除し、「ナルコレプシー」のみを適応症とすること、また、流通管理を強化し、リタリンの処方ができる医師を、リスト化された医師・医療機関・薬局に限定する通知が10月26日付で発せられました。
 しかし、リタリンはADHD(注意欠陥多動性障害)の治療薬であり、小児の患者に広く用いられています。薬事法上の「効能・効果」としてADHDはありませんが、薬理作用上効果が認められており、厚生労働省も保険診療として使用してかまわないとする通知を出しています。(「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取り扱いについて」保険発第0921001号、平成19年9月21日)
 もし、処方できる医師をナルコレプシーの診断、治療に精通した専門医のみに限定してしまうと、一般の小児科医は使用することができず、結果として大多数のADHD患者の治療が中断してしまうことになります。
 ADHDに適応をもつ薬剤として「コンサータ」が近く薬価収載されるといわれていますが、この薬剤は徐放製剤であり、分割や粉末にして使用することができず、小児に広く使えるとは限りません。また、その流通管理もリタリンと同様に扱われることとされています。
 このような事情から、リタリンを引き続き小児のADHD治療薬として使用するため、会員の小児科医から寄せられた下記の事項について善処下さるよう要望します。

          記

1、リタリンの流通管理について、乱用を防ぎながら、一方でADHDの治療にあたる小児科医などもリストに参加でき、従来どおり使用できるよう柔軟に対応すること。
2、リタリンにADHD治療の適応を申請するよう、ノバルティスファーマ社を指導すること。
3、コンサータの流通管理にあたっても、小児のADHDの治療に支障をきたさないよう、処方医のリスト化にあたっては柔軟に対応すること。
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投稿者 tsukada : 2007年11月15日 17:10